年金時代

財政検証の経済前提【2014年4月号「特集Ⅱ」掲載】

●運用利回り・物価上昇率

制度の状況は実績を基に設定 結果は幅をもって解釈が必要

こうした試算に基づき設定された経済前提が図表3だ。36年度以降の長期の経済前提は8つのケースごとに物価や賃金の上昇率、運用利回りといった経済前提の範囲が示されている。そのうち実質運用利回りは、実質長期金利と分散投資効果による上積み分を合わせたものだ(図表2参照)。

厚労省はこれを基に財政検証作業を始めるが、制度の状況に関する前提は被保険者や受給者の実績データを基に設ける予定だ。国民年金保険料の納付率も、実績や今後の収納対策の取り組み状況を踏まえ複数ケースを設定する方針だ。年金部会では、「財政検証結果は人口推計3とおり×経済前提8とおりで24とおりになるがどう評価していくか」との指摘があった。これに対し厚労省は「基本的に人口推計などは中位がメインと考えられる。低位や高位は出てきた結果も見て示し方を工夫したい」との考えを示した。

そのほか、専門部会は「変動を織り込む場合の経済前提も設定が必要と考えた」とした。変動の有無によってマクロ経済スライドによる調整の効果が異なるとの理由からだ。変動周期は4年で幅は過去30年間の物価変動率の標準偏差である1.2%とし、名目賃金上昇率も変動するような設定を示した。

なお、専門委員会は報告書で、財政検証結果は将来の予測というよりも、現時点で得られるデータの将来の年金財政への投影という性格のものであることに留意が必要と指摘。そのため検証にあたっては複数の前提を設定し、その結果も幅をもって解釈する必要があると示している。

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