年金時代

財政検証の経済前提【2014年4月号「特集Ⅱ」掲載】

積立金運用のあり方

GPIFへ示す運用目標は「実質的な運用利回り」

専門委員会は、積立金の運用のあり方についても提言した。22年12月に、当時の「年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)の運営のあり方に関する検討会」が、経済前提を議論する早い段階から、年金財政と運用を一体的に議論する場が必要と指摘していたためだ。

報告書では、運用利回りはこれまでどおり「名目賃金上昇率+α」で設定するとともに、GPIFに示す運用目標については実質的な運用利回りのみを設定し、名目賃金上昇率は示さないこととした。名目賃金上昇率と実質的な運用利回りを合わせた名目運用利回りは、議論が混乱したとの指摘があったためだ。

ただ、前述のケースA~Hの実質的な運用利回りは上下限が異なる。これはTFP上昇率とともにGDPも増加すると、賃金上昇率もおおむねGDP上昇率に連動して増加する一方で、長期金利に連動する利潤率はGDPの上昇率ほど増加しないことが背景にある。そこで専門委員会は、すべてのケースに対応できるという観点から、GPIFに示す値は、ケースEの中央値1.7%とした。

また、年金部会の意見を踏まえ、長期金利に分散投資で得られる超過収益を加える方法や、アクティブ運用は確たる根拠がある場合に認めるという既存の方針の維持を求めた。基本ポートフォリオの策定では、運用目標などからの下振れリスクが一定程度超えないことを「許容度」とし、その際、全額国内債券運用において名目賃金上昇率から下振れするリスクを超えないことを、リスク許容度として示すこととした。

 

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