年金時代

平成26年財政検証に見る年金財政の見通し・後編【2014年7月号「特集」掲載】

3つのオプション試算

●オプション試算Ⅱ

防貧機能強化策の適用拡大は所得代替率の引き上げ効果も

2つ目のオプションは被用者保険のさらなる適用拡大だ。年金機能強化法による適用拡大は28年10月に実施されるが、厚労省は36年4月よりさらに、

適用拡大①(220万人ベース):一定の賃金収入(月5.8万円以上)のある、所定労働時間週20時間以上の短時間労働者へ適用拡大(月収5.8万円未満の被用者、学生、雇用期間1年未満の人、非適用事業所の被用者は対象外)

適用拡大②(1,200万人ベース):一定の賃金収入(月5.8万円以上)があるすべての被用者へ適用拡大(学生、雇用期間1年未満の人、非適用事業所の雇用者についても適用拡大の対象)を設定して試算した。

なお、適用拡大②の要件でも対象とならない月収5.8万円未満の厚生年金未適用者は300万人まで減少するとの推計だ。

試算の結果は図表6で、いずれの場合も厚生年金の最終的な所得代替率を引き上げる効果が見られた。特に約1,200万人まで適用拡大した場合の引き上げ幅が大きいが、これは適用拡大によって第1号被保険者から第2号被保険者に移った人の人数と財政のしくみに起因する。第1号から第2号に移る人の推計は、適用拡大①の場合で80万人だが、適用拡大②の場合は600万人に上る。国民年金の積立金は被保険者の移動により第1号が減少してもそのまま残り、その積立金は減少後の第1号の人数で活用できることから、基礎年金部分の最終的な所得代替率の引き上げにつながる。

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