年金時代

平成26年財政検証追加報告と年金部会の議論・前編【2014年8月号「特集」掲載】

年金部会で平成26年財政検証結果の追加報告が示されたことを取り上げた記事。A~Hの経済前提8ケースのうち経済成長が低く労働参加も進まないケースは年金額の所得代替率が50%を下回る結果となったことなどが厚労省によって示され、年金部会では経済成長がないケースでも年金財政の持続可能性を担保できるようにすべきといった指摘があったことなどを掲載した。

持続可能性の追求と給付水準の確保策が課題に

厚生労働省は6月27日の社会保障審議会年金部会(部会長=神野直彦・東京大学名誉教授)で、同月3日に公表した平成26年財政検証結果に関する追加報告を行った。年金額改定ルールの下での、裁定後の所得代替率の見通しのほか、世帯類型ごとに見た負担と給付の構造などを説明した。両日の年金部会で行われた委員による議論では、経済が成長し労働参加も進むケースで給付水準調整終了後の所得代替率が50%を確保する姿に安堵(あんど)することなく、年金制度の持続可能性や給付水準の確保に向けた見直しを求める意見が相次いだ。

Ⅰ 平成26年財政検証の追加報告

裁定後の年金額の見通し

所得代替率の下限50%は新規裁定者の年金額

平成16年改正では国庫負担を3分の1から2分の1に引き上げ、保険料の上限も固定する一方で、給付水準をゆるやかに調整していく「マクロ経済スライド」が導入された。これは毎年度の年金額の改定で、少子化による被保険者数の減少分に平均余命の伸び率分を加味した調整率を改定率に反映して、給付水準を抑制するしくみだ。マクロ経済スライドによる給付水準の調整は、負担と給付のバランスがとれるまで行われる。

5年ごとに行われる公的年金の財政検証では、設定した経済前提を年金財政に投影し財政や給付水準の見通しが作成される。給付水準は、「40年間平均的な賃金で働いた夫と全期間専業主婦だった妻の夫婦世帯」を標準的な年金受給世帯とし、この標準世帯が65歳の新規裁定時に受ける年金額の「厚生年金の現役世代(男子)のボーナスを含む平均的な手取り収入」に対する比率で見ることとされている。これが「所得代替率」で、その下限は50%と法定化されている。

厚生労働省が6月3日に公表した平成26年財政検証結果で、標準世帯が65歳の新規裁定時に受ける年金額の所得代替率の見通しが示された。経済が成長し労働参加も進む前提のケースA〜E(出生率、死亡率は中位)では平成55年度や56年度に負担と給付のバランスがとれ、給付水準調整終了後の所得代替率は50%を確保していけることが確認された。一方、経済成長が低く労働参加も進まないケースF〜H(出生率、死亡率は中位)では、平成48年度から52年度の間に負担と給付のバランスがとれないまま所得代替率が50%に達する姿が示された。(アーカイブ:2014年7月号「特集」掲載参照)

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