年金時代

平成26年財政検証追加報告と年金部会の議論・後編【2014年8月号「特集」掲載】

Ⅱ 年金部会での議論

経済成長と労働参加で所得代替率50%を評価

田村憲久厚生労働大臣は6月3日、財政検証結果の公表を受けて会見を行い、「経済がしっかり成長し労働参入もうまくいくということを前提に、年金制度は一定程度安定性が保たれることを改めて確認した」との見方を示した。また、「年金制度の持続可能性を考えた場合、どのような環境をつくっていかなければならないか、政策的にどのような部分に力を入れていかなければならないかということが改めてわかった」と述べ、オプション試算の結果も踏まえた幅広い議論を基に検討していく考えを示した。

6月3日と27日に開かれた年金部会では、経済が成長し労働参加も進む前提のケースA〜Eにおいて、標準世帯の最終的な所得代替率は50%を確保する結果が示されたことを評価する意見が多く出された。

山本𣳾人委員(日本商工会議所社会保障専門委員会委員)は、「日ごろの経済活動や消費活動が年金制度の安定にもつながり、若い人たちの心の支えにもなる」と発言。森戸英幸委員(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)は、「公的年金は労働政策や私的年金などと全体でやっていけば、うまく動いていくことが明らかになった」と評価した。武田洋子委員(三菱総合研究所政策・経済研究センター主席研究員)も、「労働市場と年金の好循環が生まれるような制度設計を行っていくことが、成長力の底上げと年金財政の持続可能性、若い人たちが安心して暮らせるようになるためのカギを握っている」と述べた。

その一方で、所得代替率が50%を下回った経済成長が低く労働参加も進まないケースを見て議論を進めることが必要との意見も多かった。駒村康平委員(慶應義塾大学経済学部教授)は「厳しいほうの姿を見ながら政策を議論すべき」と指摘。武田委員も「重要なのは、仮に経済成長がなかったとしても年金財政の持続可能性が担保されるよう改革に着手していくことだ」と発言。小塩隆士委員(一橋大学経済研究所教授)は、今後の経済が財政検証で用いられた前提のように推移するかは不透明として、「ケースFやHも視野に置いて慎重に進めていかないといけない」と述べた。

出口治明委員(ライフネット生命保険株式会社代表取締役会長)は、「オプション試算はどのようなことをやれば効果があるのかよくわかる。これからの年金制度をサスティナブルにしていくためにはどのような方向で議論すればいいか、大きなヒントがある」と強調した。

年金時代