年金時代

公的年金制度改革の方向性を示した議論の整理【2015年3月号「特集Ⅰ」掲載】

額改定の「賃金連動」を徹底し、将来世代の給付水準の確保を

年金額は平成16年改正で新規裁定者は賃金の伸びで、既裁定者は物価の伸びで改定することになったが、賃金の下落幅が物価の下落幅よりも大きい場合は新裁、既裁ともに物価で改定するなどの例外が設けられている。

財政検証結果から、基礎年金の給付水準の調整期間の長期化が懸念されている。これまでの年金額の改定で例外が適用される状況が続いたため、現役世代の収入に比べて年金額の減少の度合いが小さく、足下の所得代替率が上昇したことが要因だ。

これを受け部会は議論の整理で、「賃金に連動して改定する考え方を徹底することが必要」とした。今後の経済変動が調整期間の長期化につながってしまうことを避け、将来世代の給付水準を確保することがねらいだ。

また、部会はマクロ経済スライドの「名目下限措置」についても議論した。27年度の年金額の改定からマクロ経済スライドの調整率が反映されることになったが、これには賃金や物価の伸びが小さく、調整率を反映すると前年度の年金額を下回る場合は前年度の年金額が維持され、また、賃金や物価の伸びがマイナスの場合は、その下落分は反映されるが調整率は適用されないしくみが設けられている。これが名目下限措置で、財政検証ではこの措置をやめ、どのような経済情勢でも調整率をフルに反映するオプション試算が行われ、将来の給付水準を確保できる効果が示された。

議論の整理では、将来世代の給付水準を確保する観点から、「マクロ経済スライドによる調整が極力先送りされないよう工夫することが重要となる認識については、おおむね共有された」と明記した。また、調整幅を物価や賃金の伸びの範囲内にとどめたり、基礎年金は調整の対象から外すべきとの意見や、調整の徹底で影響を受ける受給者は他の低所得者向けの制度で対応し、年金制度はシンプルにすべきとの意見も示した。

年金時代