年金時代

年金制度改革の方向性【2016年1月号「新春特集Ⅰ」掲載】

平成27年度からマクロ経済スライドによる給付水準調整が開始され、社会保障・税一体改革や平成26年財政検証以降、年金部会では年金制度の課題を整理。平成27年末には改革の方向性が示されたため、平成28年1月号「新春特集Ⅰ」ではこれらの課題と、年金部会で議論されていた改革案の内容を整理した。

労使合意で厚生年金の適用拡大を可能に

マクロ経済スライドの繰り越しを検討

厚生労働省は昨年12月8日の社会保障審議会年金部会(部会長=神野直彦・東京大学名誉教授)に年金制度の改革案を示した。これは同部会が平成26年財政検証結果を受けて昨年1月21日に取りまとめた「議論の整理」を受け、政府・与党で調整が進められているものだ。社会保障・税一体改革関連法の成立後に残された年金制度の課題への対応が、着実に進められようとしている。

財政検証が警鐘を鳴らした公的年金の重要な課題

平成24年に社会保障・税一体改革関連法が成立。年金制度では基礎年金国庫負担2分の1に消費増税分を充てることやマクロ経済スライドの発動要件が整い、16年改正で導入された負担と給付のバランスを図るための財政フレームが完成した。このほか、従業員501人以上の企業を対象とする被用者保険の適用拡大なども実現している。

その後行われた平成26年財政検証では8通りの経済前提を設定したことで、現在の年金制度でも経済再生と労働参加が進めば将来的に所得代替率50%を確保できることがわかった。

一方、基礎年金についてはマクロ経済スライドによる給付水準の調整期間が30年近くかかり所得代替率が大きく低下。低成長の前提では、所得代替率が50%を下回らなければ財政の均衡を図ることができない将来像が示された。ただ、①マクロ経済スライドの見直し②さらなる適用拡大③保険料拠出期間の延長――の、3つの制度改正を仮定したオプション試算から、いずれも所得代替率を引き上げる効果があることがわかっている。

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