年金時代

年金制度改革の方向性【2016年1月号「新春特集Ⅰ」掲載】

厚労省が3つの改革の方向性を提示

昨年12月8日の年金部会で厚労省は、政府・与党で調整している制度改革の検討の方向性を示した。それは、①被用者保険の適用拡大②年金額改定のあり方③第1号被保険者の産前産後期間の保険料の取り扱い――に関する改正を推し進め、残された課題に対応しようとするものだ。次に、その具体的な内容と、部会での議論を整理する。

短時間労働者の適用拡大

労使合意を前提に中小企業も適用拡大を可能に

平成28年10月より、従業員が501人以上*1の企業を対象に短時間労働者への被用者保険の適用拡大が実施される。適用要件は、①週所定労働時間20時間以上②賃金月額8.8万円以上(年収106万円以上)③勤務期間1年以上見込み――のすべてに該当する人で学生は対象外だ。厚労省はこの実施時期に合わせて、500人以下の企業も労使合意に基づき企業単位で適用拡大ができるようにする案を示した。(図表2参照)

年金部会の議論では森戸英幸委員(慶應義塾大学大学院法務研究科教授)が、「単純な任意適用ではなく労使合意を要件としている趣旨は何か」と質問。厚労省は「労使の負担が義務的に発生するためだ。ただし反対の人がいてはいけないということではない」と説明した。また、駒村康平委員(慶應義塾大学経済学部教授)は、若い世代にも多い不本意非正規*2の将来の年金を危惧し、「早く適用拡大を進めてほしい。労使合意に基づく適用拡大では何らかの政策的な支援を行うのか」と発言。厚労省は社会保険の適用を図って人材を確保する意欲的な事業主に、雇用保険の助成金を活用して後押しする考えがあることを説明した。

*1 現行の適用基準で適用となる被保険者数で算定。
*2 正社員として働く機会がなく非正規雇用で働いている人。
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