年金時代

公的年金制度の改正法案が国会に提出される・前編【2016年4月号「特集」掲載】

平成28年3月に国会に提出された「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」の内容を掲載した記事。短時間労働者への被用者保険の拡大の促進や第1号被保険者の産前産後期間の保険料免除、年金額改定ルールの見直しなどについて解説している。

年金額の改定ルールを見直し、将来の給付水準の確保をめざす

政府は3月11日、「公的年金制度の持続可能性の向上を図るための国民年金法等の一部を改正する法律案」を閣議決定し、国会に提出。厚生労働省も同14日に開かれた社会保障審議会年金部会(部会長=神野直彦・東京大学名誉教授)で、その内容を報告した。この法案は同部会が平成26年財政検証を受けて、社会保障制度改革プログラム法などに盛り込まれている年金制度の課題を、①経済社会の発展への寄与②持続可能性の強化③年金水準の確保――に向けて取り組むべきとして議論を重ね、昨年1月に整理。厚労省も政府・与党と調整を進めてきたものだ。労使合意で被用者保険の適用拡大を可能にすることや年金額の改定ルールの見直しなどが盛り込まれている。

被用者保険の適用拡大

従業員500人以下の企業も労使合意のうえ適用拡大

年金機能強化法により平成28年10月から、従業員数が501人以上の企業等で、①労働時間が週20時間以上②月額賃金8.8万円以上③勤務期間が1年以上の見込み――のすべての要件を満たす短時間労働者は、被用者保険に加入することになっている。学生は対象外だ。

この適用拡大は、中小企業の負担能力に対する配慮等から従業員数が500人以下の企業は適用除外となっている。そのため、事業主が短時間労働者の被用者保険への加入を希望しても制度上加入させることができない。26年財政検証では、適用拡大に給付水準を引き上げる効果があることが明らかになっている。また、年金部会は議論の整理で、28年10月以後の本格的な適用拡大の検討に先立ち、これを一歩でも前に進めることが重要と指摘。「労使合意を前提に任意で適用拡大を行う方法もある」との意見も出ていた。

そこで法案では、28年10月の施行に合わせて、従業員数が500人以下の企業等でも労使で合意すれば、企業単位で適用拡大が可能となるようにした(図表1参照)。

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