年金時代

公的年金制度の改正法案が国会に提出される・後編【2016年4月号「特集」掲載】

年金額の改定ルールの見直し

マクロ経済スライド未調整分を翌年度以降に繰り越し

平成16年改正では保険料の上限を定め、マクロ経済スライドにより最終的な負担の範囲内で財政が安定する見通しが立つまで給付水準を調整していくしくみなどが導入された。将来世代の保険料負担が重くなりすぎることを避けるとともに、年金の給付水準を確保していくためだ。このマクロ経済スライドによる給付水準の調整は、特例水準が解消した27年度から実施されているが、調整を早期に進めるほど給付水準(所得代替率)は相対的に高くなる(図表4参照)。

マクロ経済スライドは、年金額の改定率から、少子化による被保険者数の減少分に平均余命の伸び率分を加えた調整率を差し引いて改定率を抑制するしくみだ。だが、賃金や物価の伸びが小さく調整率を反映すると前年度の年金額を下回る場合は、部分的な調整にとどめて年金額を維持する。賃金や物価がマイナスの場合は、その分は改定するが調整率は反映しないことになっている。これを名目下限措置と呼ぶが、調整期間の長期化につながる要因となっている。

これについて年金部会は、将来世代の給付水準を確保する観点から、調整が極力先送りされないよう工夫することが重要と指摘していた。そこで法案では、名目下限措置を維持しつつ、反映できなかった調整率を翌年度以降に繰り越し、賃金や物価が十分に上昇した年度に、その年度の調整率に加えて反映する措置を盛り込んでいる(図表5参照)。30年4月施行だ。

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