年金時代

公的年金制度の改正法案が国会に提出される・後編【2016年4月号「特集」掲載】

年金額の改定ルールの見直し

将来の給付水準確保に向け、賃金に連動した改定を徹底

26年財政検証では基礎年金部分のマクロ経済スライドによる調整期間が長期化し、将来世代の給付水準が低下する姿が示されたが、その要因には現在の年金額の改定ルールがある。

67歳までの新規裁定者は賃金の伸びで、68歳以降の既裁定者は物価の伸びを基に年金額が改定される。これは賃金と物価がともにプラスで、賃金の伸びが物価の伸びを上回る場合だ。他方、賃金の伸びがマイナスで、物価の伸びがプラスの場合、年金額は改定せず維持される。また、賃金や物価がともにマイナスで賃金のマイナス幅が大きい場合は、新裁・既裁ともに物価で改定する例外規定がある。

これは16年改正で導入されたしくみだが、それ以降はほぼすべての年度で賃金の伸びが物価の伸びを下回ったため、年金額の改定で例外規定が適用されてきた。調整期間の長期化は、現役世代の収入の減少に比べて、例外規定の適用により年金額の減少の度合いが小さいため、足下の所得代替率が上昇したことによるものだ。

年金部会は今後の経済変動が調整期間の長期化につながることを避け、将来世代の給付水準確保のため賃金に連動した改定の徹底を求めていた。そこで、年金額の改定ルールを見直し、賃金の伸びが物価の伸びを下回った場合は、新裁・既裁ともに賃金に合わせて年金額を改定することとする(図表6参照)。33年4月施行だ。

なお、厚労省はこうした年金額の改定ルールの見直しについて、現在20歳の人が65歳時に受ける年金額が夫婦で月額2,000円程度、所得代替率で0.3%程度改善する効果があるとしている。

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