年金時代

稲田 耕平(いなだ こうへい)/特定社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー

第8回 健康経営の広がりとこれから

約1年前からスタートしました本連載は、これまで7回を重ね、また、10月31日に健康経営優良法人の申請期限を迎えました。ここでいったん最終回といたします。しかし、健康経営は未だ道半ば、支援の担い手である社会保険労務士等がさらに頼れるサポート役となるよう、来年から新連載を予定しています。

*「健康経営」は、特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

急成長中の健康経営

2013年の日本再興戦略から健康寿命の延伸が政策の柱となり、「健康経営」というキーワードが世の中に発信されましたが、なかなか浸透しない状況ではありましたが、この1~2年の勢いはたいへんな状況となっています。具体的に申しますと、なんといっても、健康経営優良法人の中小規模法人部門の認定数が、「2018認定は318法人」とわずかでしたが、「2019認定が776法人」、そして「2020認定が2,501法人」とうなぎ上り状態となっています。また、健康宣言数も3万5,000法人を超えています。

専門家がサポートする健康経営

一方で、この数字は日本に約400万社ある企業数の1%にもなっていませんし、健康宣言はしたけれど、その先が進まず悩んでいる企業が多数あるのも事実です。生産年齢人口が減少する中、企業は、従業員を大切にし、法令遵守以上の健康保持・増進を図りながら、業績を向上していかなければいけない時代となっています。

そこで何をすべきか? それは簡単です。「働き方改革」と「健康経営」を両軸として経営をしていけばよいのです。でも、そこには専門家のサポートが必要となってきます。まさに、経営資源の最も重要である「人」の専門家である“社会保険労務士”が最適と考えます。

しかしながら、健康経営のすべてを社会保険労務士が対応できると考えるのは勘違いです。産業医、保健師、中小企業診断士、管理栄養士等の他の専門家と連携することにより、法令遵守、健康づくり、人事労務管理、人材育成、生産性向上、業績向上等の経営課題を解決するのに、様々な意見や方向性を取り入れ、提案できることが可能になってきます。ひいては、健康経営というキーワードでまとまることができれば、企業の健全な発展と労働者の福祉に資することにつながっていくのです。

健康経営支援は社労士が担うべき!

社会保険労務士のビジネスの視点からお話をしますが、健康経営を通して、「ビジネスチャンスを広げる面」と「ビジネスチャンスを逃す面」の2つがあると考えます。「健康経営の取り組みを進めていくアドバイスが欲しい」という依頼を受けて企業に行くと、たいていは、その会社にも顧問社労士がいます。なぜ、「その社労士に相談しないのか?」と伺うと、「話をしても、『健康経営って何?』という反応だから…」というのです。これからは、業務の差別化も重要ですが、多様なニーズにバランスよく対応できる社労士のスキルも重要です。健康経営を特化していくパターンもありますが、最低限、経営者から聞かれたら回答できるレベルになってもらいたいと考えます。

おわりに、2020年からは、新連載として「健康経営における社会保険労務士の役割や他の専門家との連携」など、健康経営と社会保険労務士をつなげることをテーマとした企画を考えておりますので、ご期待していただければと存じます。1年間ありがとうございました。

 

健康経営の理念やメリット、基本的な進め方とともに、

経済産業省の「健康経営優良法人2020(中小規模法人部門)」の認定基準をベースに適合例・不適合例を紹介。

経営者、人事労務担当者、顧問先の健康経営をサポートする社会保険労務士の皆様必携のリーフレットです。

規格:A4・8頁・両観音折り
発行:令和元年10月発刊
商品No:650701
定価:本体380円+税
著者:稲田耕平・阿藤通明・今井鉄平・坂野祐輔・田中亮子

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稲田 耕平(いなだ こうへい)/特定社会保険労務士、健康経営エキスパートアドバイザー
稲田社労士事務所代表、株式会社いなだコンサルティング代表取締役。健康経営アドバイザー制度の構築に関与し、「健康経営」を中小企業に普及することをライフワークとしている。東京都社会保険労務士会:働き方改革・健康経営特別委員会副委員長兼健康経営推進部会長、経済産業省委託事業:健康投資の見える化検討委員会委員ほか。
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