年金時代

谷内 陽一(たにうち よういち)/りそな銀行 りそな年金研究所 統括主席研究員

第1回 あえて問う「企業年金って何?」ーその1

 本コンテンツは、タイトルにあるとおり、「企業年金」をテーマに年金のアレコレについて話を進めていく予定ではありますが、そもそも「企業年金」とは一体何でしょうか?

「年金」というだけで一緒くたにされる

わが国では、「年金」と言うと、国民年金や厚生年金保険など「公的年金」のことを思い浮かべる方々がほとんどです。「年金=公的年金」のイメージが強過ぎるあまり、企業年金もまた、公的年金や社会保障の仲間だと思われがちです。典型的なのが社会保険労務士試験で、確定給付企業年金法や確定拠出年金法は「社会保険に関する一般常識」という科目で出題されます。
年金制度の専門家と目されている社会保険労務士ですらこの程度の認識なのですから、世間一般における企業年金のイメージは「何それ?」「何だか分からないけど難しそう」という見方が支配的です。いや、この程度ならまだマシなほうで、「少子高齢化で先行き暗いよね」「どうせ貰えなくなるんでしょ?」と、風評被害にも近い言いがかりをつけられる始末です。

同じ「年金」でも性格・役割は異なる!

しかし、同じ「年金」であっても、公的年金と企業年金、さらに個人年金は、その性質・役割が大きく異なります。強制加入で終身給付や所得再分配を伴う公的年金は「社会保障」の一環ですし、加入・解約が任意である個人年金は「自助努力」の一手段であると言えます。企業年金は、わが国では退職一時金が先行して普及した歴史的経緯があることから、企業年金は「退職金」ひいては「後払い賃金」としての性格を色濃く残しています。
にもかかわらず、同じ「年金」という言葉が付くという理由だけで、公的年金・企業年金・個人年金が十把一絡げに語られてしまう現実があり、ひいては、年金に対する誤解・曲解がそれこそ都市伝説の如く蔓延してしまう根深い要因となっている感があります。
本コラムでは、「Web年金時代」の幕開けを記念して、今後数回分の連載枠を活用(利用!?)して、「年金とは何か」を様々な切り口から分析・解説し、ひいては「企業年金とは何か」を詳(つまび)らかにしたいと考えています。よろしくお付き合いいただければ幸いです。

【今回のまとめ】

「年金=公的年金」のイメージが強過ぎて、企業年金も公的年金の一味だと思われている。そもそも「年金」とは、そして「企業年金」とは何だろうか?

谷内 陽一(たにうち よういち)/りそな銀行 りそな年金研究所 統括主席研究員
厚生年金基金連合会(現:企業年金連合会)で約10年にわたり記録管理・数理・資産運用等の業務に従事。全労済協会などを経て、2010年りそな銀行入社。社会保険労務士、証券アナリスト(CMA®)、1級DCプランナー、DCアドバイザー。2015年より日本年金学会幹事。
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