年金時代

三宅 明彦(みやけ あきひこ)/社会保険労務士

年金受給資格期間の10年短縮による今後の流れとポイント【後編】

年金請求のしかた

平成29年3月からは「年金請求書(短縮用)」に必要事項を記入の上、添付書類を添えて、お近くの年金事務所または街角の年金相談センターに提出ができるようになっています。ただし、年金の権利が発生するのは平成29年8月1日で、翌9月分の年金から支給されます(初回の入金は10月13日になります)。

添付する書類

【必ず添付するもの】
①年金手帳(配偶者がいる方は配偶者の年金手帳または年金証書)
②世帯全員の住民票(単身者は不要)
【必要に応じて添付するもの】
③雇用保険被保険者証(65歳未満の場合。請求時点で雇用保険の資格を喪失してから7年以上経過している場合は不要)
④カラ期間を証明する書類(カラ期間を用いる場合)
⑤戸籍謄本・課税または非課税証明書(加給年金額・振替加算対象者の場合)

相談を受ける場合のヒアリングのしかた

今回の改正により、約73.5万人以上が新たに年金受給者になるのですが、その方々のすべてが年金請求を行うとは限りません。特に生活保護受給者への対応には苦慮することが危惧されます。
また、遺族年金や障害年金を受給している方で、年金加入期間が25年以上なかったために老齢年金を受けていない場合、改正後は10年以上あれば新たに老齢年金が受給できるのですが、「遺族年金や障害年金を受給しているから老齢年金はもらえない」、または「請求しても年金額は増えない」と思い込んでいる場合が考えられます。
このような場合には併給調整されることになりますが、一般には受給額は増えますので、確認が必要です。

それから、「繰上げ」受給や「繰下げ」受給をする方がいるかもしれません。平成29年8月1日に65歳未満で特別支給の老齢厚生年金が受給できる方は、老齢基礎年金の繰上げ受給をするケースも考えられます。一方、平成29年8月1日に65歳以上の方は、1年を経過すれば繰下げ受給をすることも可能です。

いずれにしても、ご本人の年金加入期間が10年以上あれば事前に年金請求書が送られてきますので、請求を促すきっかけにはなりますが、年金請求書が送られてこない方でも年金受給権が発生する方が相当数いるのは事実です。
それでは、相談者から聞かれることは何なのか、と考えてみると、「年金がもらえるかどうか」「いくらもらえるのか」「もらうにはどうしたらよいか」ということが主になろうかと思います。

まずは、65歳を過ぎていて年金を受給していない方には、声を掛けてみることです。繰下げ待機中で受給していない場合もあるでしょうが、あまり多くはないと思われます。多くは年金受給資格期間の25年に届かなかった方ではないでしょうか。

その方々に年金受給資格期間が10年になることを説明して、10年に満たない場合には、漏れている年金記録がないか、またはカラ期間がないか等の確認をし、必要があれば年金事務所で調査をしてください。10年の資格期間があった場合には、年金請求をすることになりますが、請求のしかたはこれまでと何ら変わりません。

また、受給金額については、老齢基礎年金も老齢厚生年金も旧法の通算老齢年金も、年金額の計算のしかたは今までと変わりません。年金額の算出方法がわかっていれば事前におおまかな金額は計算できるかと思います。図表3に年金額の目安を記します。正確に知りたい場合には、年金事務所で年金見込額を算出してもらえばよいでしょう。

なお、相談を受ける際には個人のプライバシーに踏み込むことも想定されますので、当然のことですが、守秘義務を含めた配慮を心がけてください。

三宅 明彦(みやけ あきひこ)/社会保険労務士
東京都社会保険労務士会所属。 金融機関等での豊富な年金相談経験をもつ。多数の年金セミナー・年金研修等の講師を務める。現在、東京都社会保険労務士会の年金講座講師。著書多数。『年金マニュアルシート』(社会保険研究所)は約50万部の大ヒット。マニュアルシート・シリーズの最新版『10年短縮年金マニュアルシート』も好評。
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