年金時代

年金時代編集部

10年短縮年金の請求手続に関する注意点【前編】

年金請求書について

平成29年8月1日から年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されることに伴い、法施行時に新たに受給権を得る方が大幅に増加することが見込まれます。その混雑緩和のため、日本年金機構では資格期間が10年以上あり、住基情報から生存確認できた方に黄色の年金請求書(短縮用)(専用のターンアラウンド請求書)を送付し、平成29年3月1日から受付を開始しています。
送付対象者の方については住基情報の住所・氏名で生存確認をしているため、請求書の1ページに印字されている住所と生年月日に相違がなければ、住民票の添付が省略できます。単身者であれば、預金通帳だけで請求できる場合もあります。
なお、日本年金機構の保有する年金記録だけで10年の資格期間を満たさない方や、海外に居住しているなど住基情報で生存確認できない方には「年金請求書(短縮用)」は送付されません。このような場合は、通常の年金請求書(様式第101号)を使用して手続を行います。詳しくは年金事務所や年金ダイヤルにご相談ください。
一方、「年金請求書(短縮用)」が送付された方の中には、合算対象期間を含めると現行法の25年の受給資格期間を満たす場合がありますので、注意が必要です。この場合、受給権発生日は法施行日(平成29年8月1日)ではなく、本来の受給権発生日に遡ります。ただし、受給権が発生してから5年を経過している場合、時効により年金の支給は5年分までとなります。
なお、10年以上の資格期間があり、法施行日以降に支給開始年齢に到達した方には、通常の年金請求書(ターンアラウンド請求書)が送付され、事前受付もできなくなります。
                

各種届出について

年金受給選択申出書

障害年金や遺族年金を受給している方に、法施行により新たに老齢年金の受給権が発生した場合にも「年金請求書(短縮用)」が送付されますが、2つ以上の年金を受給できるようになったときには原則として、「年金受給選択申出書」(様式第201号、様式第202号)を提出していずれか一方の有利な年金を選択します。この「年金受給選択申出書」は「年金請求書(短縮用)」と同時に事前に提出することができます。
なお、65歳以上の障害基礎年金と老齢厚生年金、また65歳以上の老齢基礎年金と遺族厚生年金といった併給可能なケースに該当する方に、新たに老齢年金の受給権が発生することで年金額が増える場合もあります。ただし、老齢年金の受給により必ずしも年金が増額するわけではないので、ご注意ください。

障害者特例・繰上げ調整額請求書

法施行により、平成29年8月1日に特別支給の老齢厚生年金を受給できるようになり、かつ施行日以降に継続して障害状態で被保険者資格を喪失している(=障害者特例に該当する)場合は、「年金請求書(短縮用)」に加えて厚生年金保険障害者特例・繰上げ調整額請求書」を平成29年8月1日以降に速やかに提出します。なお、障害者特例が適用される日において、障害年金を受給中であれば診断書の提出は不要です。障害年金を受給していなければ診断書(現症日は提出日前1ヵ月以内)の提出が必要となります。いずれも「年金請求書(短縮用)」については事前に受け付けています。

老齢厚生年金・老齢基礎年金支給繰上げ請求書

法施行により特別支給の老齢厚生年金を新たに受けられるようになった方に繰上げの意思がある場合は、平成29年8月1日以降、速やかに「特別支給の老齢厚生年金受給権者老齢基礎年金支給繰上げ請求書」(様式第234号)を提出します。「年金請求書(短縮用)」の事前受付で同時に繰上げ請求をすることはできません。

繰下げ意思確認書(10年短縮用)

施行日に65歳以上の方は老齢年金の繰下げ意思についての確認」を提出します。繰下げを希望する場合は、受給権発生(平成29年8月1日)から1年経過した平成30年8月から繰下げ請求をすることができます。なお、繰下げ請求の取り扱いについては、生年月日によって違いがあります。また、旧法の通算老齢年金には繰下げ制度はありません。

配偶者の受給権発生により必要になる届出

加給年金額の対象となっている配偶者に、法施行により被保険者期間20年以上の老齢厚生年金の受給権が発生した場合は、その支給を停止する「老齢・障害給付加給年金額支給停止事由該当届」(様式第230号)の提出が必要です。逆に、法施行により配偶者が老齢厚生年金の受給権を得たことで、振替加算が発生する場合もあります。この場合は「老齢基礎年金額加算開始事由該当届」(様式第222号)を提出します。

以上の届出(年金受給選択申出書を除く)については、平成29年8月1日以降に添付書類を添えて年金事務所で手続することになります。なお、配偶者が共済年金を受給している場合は、共済組合等での手続が必要となります。

高齢任意加入者に関する届出

国民年金の高齢任意加入者で、10年の受給資格期間を満たしている場合は平成29年7月分までの保険料納付意思の確認を行うことになっています。受給資格があり、これ以上納付の意思がなければ国民年金被保険者資格喪失届書」を提出します。受取額を増やすためなど納付の意思があれば特に手続する必要はなく、平成29年8月2日を資格喪失日として自動的に資格喪失となります。
厚生年金保険の高齢任意加入被保険者も、受給資格10年を満たしている場合は平成29年7月分までの保険料納付意思の確認をすることになっています。納付の意思がなければ同様に資格喪失届書を提出します。保険料を事業主と折半している場合もあるので年金事務所に確認してください。
なお、遺族年金の25年の受給資格期間を満たすために引き続き任意加入を希望しても、10年の受給資格期間があれば平成29年8月2日に資格喪失となり、例外は認めらません。
*後編は4月20日(木)に掲載します。

 

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