年金時代

三宅 明彦(みやけ あきひこ)/社会保険労務士

年金受給資格期間の10年短縮による今後の流れとポイント【前編】

はじめに

平成29年8月1日より年金の受給資格期間が25年から10年に短縮されることとなり、新たに少なくとも約64万人(障害・遺族年金受給者を含めると約73.5万人)が老齢年金の受給資格を得て、支給される年金額は1年間で約2,000億円という厚生労働省の試算結果が出ています。今回は、10年短縮年金について、今後の流れとポイントをご紹介します。
10年短縮年金は平成29年8月1日から実施されますが、ご本人の年金加入期間が10年以上ある方には、3月から専用の年金請求書が順次、日本年金機構から送付されています。
また、年金加入期間が10年に満たなくても、合算対象期間(以下、カラ期間と記します)を含めて10年以上になる場合には年金が受給できますので、10年未満の方にも改正内容についてのお知らせ文書を前述の年金請求書の送付完了後に送付する予定になっています。

受給資格期間短縮の内容について

納付した保険料に応じた給付を行い、将来の無年金者の発生を抑えていくという視点から、老齢基礎年金の受給資格期間が10年に短縮されます。
対象となる年金は、老齢基礎年金、老齢厚生年金、退職共済年金(一元化により原則は老齢厚生年金として決定されます)、寡婦年金と、これに準じる旧法老齢年金(旧国民年金の老齢年金・通算老齢年金、旧厚生年金の通算老齢年金、旧船員保険の通算老齢年金等)です。現在、無年金である高齢者に対しても、改正後の受給資格期間を満たす場合には、経過措置として施行日以降、納付済期間等に応じた年金が支給されます。
なお、遺族基礎年金・遺族厚生年金の長期要件(年金受給権者の死亡または年金受給資格期間を満たして死亡した場合)については期間短縮の対象になっていませんので、これまでどおり25年のままです。今回の期間短縮により老齢年金が受給できても、その方が死亡した場合には遺族年金は支給されません。なお、長期要件の25年については、生年月日により加入期間が短縮される特例(図表1)がありますので、注意が必要です。

また、国民年金の寡婦年金は、夫の国民年金の保険料納付期間または免除期間が10年以上あり、老齢基礎年金を受給しないまま死亡した場合に、遺された妻が60歳から65歳になるまでの間、支給されます。ただし、婚姻期間が10年以上あること、という規定は変わっていませんので、ご注意ください。なお、この期間短縮による寡婦年金は平成29年8月1日以降に夫が死亡した場合が対象です。
なお、国民年金の65歳以上の特例任意加入制度については、昭和40年4月1日以前生まれであって、年金受給資格がない場合に加入ができる制度ですが、70歳になるまでに受給資格ができることが加入の条件になっています。この際の受給資格期間も10年に変更されます。
そして、国民年金の任意脱退制度は廃止されます。

三宅 明彦(みやけ あきひこ)/社会保険労務士
東京都社会保険労務士会所属。
金融機関等での豊富な年金相談経験をもつ。多数の年金セミナー・年金研修等の講師を務める。現在、東京都社会保険労務士会の年金講座講師。著書多数。『年金マニュアルシート』(社会保険研究所)は約50万部の大ヒット。マニュアルシート・シリーズの最新版『10年短縮年金マニュアルシート』も好評。
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