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年金時代編集部

第2回 事例で検証 リーマンショックから学ぶDCにおける投資の基礎

平成29年1月からiDeCo(個人型確定拠出年金)の加入範囲が拡大して、公的年金に加入していればだれでもDCに加入できるようになりました。この連載では、知っておくとちょっとお得なDCの基本的事項をコラム的にご紹介していきます。

米国の大手証券会社リーマン・ブラザーズが2008年9月に経営破たんし、世界中を巻き込んだ株価の大暴落を引き起こした、いわゆるリーマンショック。当時、DCに加入していた人は、元本確保型に預けていた人を除き、多かれ少なかれ資産の目減りを経験したのではないでしょうか。

100年に一度の金融危機がそれほど頻繁に起きてはかないませんが、リーマンショック前後の、資産配分の違いによる運用実績の推移は、DCにおける投資の基礎を考えるうえで参考になるものです。

ここでは、2006年~2015年の3人のDC加入者の運用実績の推移を見ながら、DC投資のポイントを考えて見ます。

ケース① 外国株式型に100%投資。元本が半減した猛家さんの場合

当時20歳代後半だった猛家泰三(もうけたいぞう)さんは、高収益をねらって、毎月1万円の掛金のすべてを外国株式型に投資していましたが、リーマンショックに端を発する一連の株価暴落で、元本の半分を失ってしまいました。ただ、もともと楽天的な性格もあって、特に何も対策をすることなくその後をやり過ごし、このほどDC加入10年を迎えました。

以下は猛家さんの運用実績の推移です。

2009年1月、リーマンショックにより半分まで減った元本は、その約4年後、第2次安倍内閣発足直前にトントンにまで回復し、2015年12月には、元本120万円に対して年金資産209万円と、約1.7倍にまで増えています。

リスク性の高い資産も長期運用により収益が安定。ライフステージに応じた利益確定を忘れずに

誤解をおそれず言えば、猛家さんの場合、元本が半分になっても特に何もしなかったことが功を奏したようです。資産運用では、運用が長期になればなるほど、マイナスとプラスが相殺されリターンが安定する傾向があります。猛家さんの場合、この長期運用のメリットにうまくはまったと言えそうです。

しかし、これは猛家さんがまだ若かったからできたこと。もしもリーマンショック当時、猛家さんが58歳だったら、元本を割り込んだ状態でDCの資格喪失年齢である60歳を迎えることとなってしまったでしょう。資格喪失年齢が近づいてきたら、こまめに利益を確定し、不測の事態にも耐えられる資産配分にスイッチングしていくのが望ましいと言えます。

ケース② 分散投資を実践するも、運用環境悪化の局面で元本確保型にスイッチした程々さんの場合

程々好美(ほどほどこのみ)さんはリーマンショック当時40歳代前半でした。もともと中庸を好む性格で、月1万円の掛金を、国内外株式と国内外債券の伝統4資産にきっちり分散投資をしていました。しかし未曾有の金融危機で元本の約30%を毀損。あわてた程々さんは、資産と掛金のすべてを元本確保型に避難させました。その後の元本の推移は、グラフのとおりです。

目減りしたときに安全資産へスイッチングすると損を確定することに

程々さんの場合、結果的にアベノミクスの恩恵を受けることもなく、元本を割ったままいまを迎えています。

目先の環境悪化にあわてて元本確保型にスイッチングしたことで、損益を確定させる結果になってしまったようです。

ケース③ 一貫して元本確保型100%の元本堅持さんの場合

最後は、現在30歳代前半の元本堅持(がんぽんけんじ)さん。一度決めたら一途な性格で、DC加入から一貫して、月々1万円の掛金の100%を本確保型に預けています。もちろんリーマンショック時も影響はほとんど受けませんでした。

運用益が小さすぎて非課税メリットが生かしきれない

元本さんの場合、資産は10年間で利息分の約6,000円増加しました。利回りにすると0.005%。確かに元本は割りませんが、DCでは運用益が非課税となることが最大のメリットの一つですので、このような少額の利息では、十分な非課税メリットが受けられないことになります。

どうでしたか。未曾有(みぞう)の金融危機をはさんだ運用実績は、資産配分によってずいぶん異なるものになったようです。もちろん、いま好調な人でも、この先ずっと勝ち組でいられるかどうかわかりませんし、その逆もしかりです。とくに最近は、利息よりも物価上昇が上回ることで、結果的に資産が目減りする「インフレリスク」が問題視されています。ここに取り上げた3人の事例から導き出される教訓を参考に、よりいっそうお得にDCを活用していきたいものです。

 

<事例検証から導き出されたDC投資の教訓>

①運用は長期と心得、短期の環境変化に翻弄されない

②定年が近くなってきたらこまめに利益の確定を

③税制優遇メリットは十分に享受しよう

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