年金時代

第34回 富山県社会保険労務士会

センターを活用し社労士相談員の養成・スキルアップに取り組む

 

移転によりセンターの利用者数も増加

 

 

富山県内には、富山地方鉄道稲荷町駅から徒歩1分のところに「街角の年金相談センター富山」がある。JR富山駅からは1.5キロほどの距離だが、ショッピングセンターの2階にあり、740台の無料駐車場も完備している。

「できるだけお客様に気軽に利用していただけるよう、お客様目線で社労士の特色を生かした相談を心がけています。社労士であれば健康保険や労働関係の相談にも対応できます。いい意味で年金事務所との違いを出していきたいと考えています」

センター運営部長を務める富山県社会保険労務士会の池田悦子理事は、こう説明する。

以前、センターは富山駅北口に程近いオフィス街にあった。だが、管轄の富山年金事務所から徒歩2~3分の場所だったことや、駐車場が不便なこともあり、利用者数が伸び悩んでいた。そのため、平成24年11月に現在の場所に移転したのだ。

移転時のPRとして、地元のKNB(北日本放送)ラジオで、センターの社労士相談員が8回にわたり無料の年金相談に応じた。

「このラジオ相談は好評で、もっと続けてほしいとの声もありました。まさに買い物ついでに気軽に立ち寄れるセンターになったこともあり、お陰様で利用者は増えています」(池田運営部長)

センターでは、18名の社労士が相談員として登録。毎日1~2ブースに交代で座る。すべて年金マスター研修の修了者だ。また、県内4ヵ所の年金事務所でも、18名の社労士が業務委託契約をしている。初心者はセンター中心の配置となっている。

年金事務所の出張相談にも社労士が出向く。平成29年度は15ヵ所で実施している。

「年金事務所からウィンドウマシンを借り、すべて社労士だけで対応しています。基本は2名ですが、場所によっては1名のときもあります」(池田運営部長)

 

鎌倉会長(中央)、池田運営部長(右)、堀事務局長

センターで経験を積んでから年金事務所へ

センターでは毎月、内部研修を行う。年金事務所の相談員向けのスキルアップセミナーは年4回が原則だが、富山では毎月第2土曜と第3水曜の2回、2時間ずつセンターで実施している。

「60歳台の相談員もいますし、1年に2~3名は諸事情で辞められます。その意味では、年間3名くらいの相談員を養成していかないと、回っていきません」

と池田運営部長は話す。

養成では、全国社会保険労務士会連合会が実施している初任者研修の希望者を募る。その後、センターで実務者研修を行う。年に6~7名が応募するが、最終的に残るのは半数ほどだ。

「研修を終えた方はまずセンターに入り、センター長の指導のもとで勉強してもらいます。相談員として独り立ちするには5年かかると考えています。センターで経験を積んでから、2年から3年で年金事務所に入る流れにしています」(池田運営部長)

社労士会では街角センターとは別に、会の組織として「年金相談センター」を設置し、毎月第1・第3木曜の午後に社労士会事務局で無料相談を行っている。ただウィンドウマシンがなく、一般的な相談しかできないため、踏み込んだ内容の場合は街角センターを案内している。池田運営部長はこの年金相談センターのセンター長を15年務めたが、今年から中島幸治センター長にバトンを渡し、次の年金リーダーとして大きく育ってもらうことを期待している。

 

出前授業、障害年金等無料相談など社会貢献活動も積極的に展開

社労士会では、7年ほど前から学校での出前授業に取り組んでいる。教育マネジメント委員会を設置し、県教育委員会や各学校への案内、講師の登録と派遣、独自テキストの作成など、すべてを担当している。学校への案内文は、学校に応じて変えているという。

富山県では中学3年生向けに、「14歳の挑戦」と題し授業の中で5日間の職場体験を実施している。そこでは、社労士が働くことや社会保険の講義をするケースもある。平成28年度はそうした中学も含め、高校・専門学校・大学などで12件の依頼があった。

「学生たちが社会人になったときに、労働や雇用、社会保障などの知識があるのとないのとでは全然違います。社労士は経営者とのつながりもあり、現場の実情を反映した授業ができます。会として積極的に取り組み、社労士の認知度を上げるためにもさらに広げていきたいと考えています」

富山県社労士会の鎌倉義則会長は力を込める。

また、平成7年からは県内の基幹病院で障害年金等の無料相談を実施している。こちらは先の年金相談センターに登録している社労士のうち、特に障害年金に詳しい7~8名の社労士で対応する。28年度は3病院で年1回、1病院で年2回開催した。

「病院のロビーなどをお借りし、患者さんを対象に相談に応じます。看護師さんやケースワーカーの方々にお話をする場合もあります。障害年金は高度な知識が要求されます。相談内容については内部で検証し、追加説明が必要な場合はきちんと伝えています」(池田運営部長)

平成28年からは社労士成年後見センター富山も参加し、成年後見の相談にも対応して好評を得ている。

「年金相談は知識だけでなく、人間力も求められます。次を担う相談員の育成は常に課題です。一方で、日本年金機構との契約が将来的にも続くのかという問題があります。年金のスペシャリストを養成しても、それを生かす場を失ってしまっては会として責任を感じます。その意味でも、コンプライアンスの問題にはしっかり取り組んでいきたいと考えています」

鎌倉会長はこう結んだ。

社労士会の概要

事務局所在地 富山県富山市千歳町1-6-18 河口ビル2階

会員数 286名(開業184名、勤務等102名)

支部数 4支部

年金事務所の業務委託社労士 18名

センター数 1ヵ所

センターでの社労士相談員 18名

 

センターの移転時は地元新聞に広告を掲載した。

今年6月20日には富山市民病院で無料相談会を開催する。

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