年金時代

第35回 三重県社会保険労務士会

雇用保険や健康保険にも対応できる社労士の強みを伸ばしていきたい

 

オフィスでは2名の社労士相談員が常駐

三重県内では、平成23年11月21日に「街角の年金相談センター津オフィス」がオープンした。津市役所にも程近い官公庁街の一画にある。

「市役所とは道路を挟んで北側に位置し、しかもビルの1階ですので、まさに“街角”にふさわしい場所にあります。予約制が原則ですが、市役所で聞いて来られる方もおり、時間が許す限り対応しています」

三重県社会保険労務士会の若林正清会長は、オフィスの状況をこう説明する。

津オフィスの特徴は、専任の社労士相談員2名が常駐していることだ。長年、年金事務所で経験を積んできたベテランでもあり、オープン当初からブースに座っている。ただ、2名が休まざるを得なくなる状況も考慮し、5名の社労士がサポートとして登録している。

「的確なアドバイスはもちろんですが、接遇を含め、気持ちのうえでもお客様に寄り添った相談を心がけています。お陰様で、相談者の満足度も高い評価を得ています」(若林会長)

県内5ヵ所の年金事務所でも、51名の社労士が業務委託契約をしている。オフィスのサポート社労士は年金事務所との兼任だ。

年金事務所に出向く社労士相談員は毎年、公募する。事務局ではオフィスを活用し、必要に応じて20日間の日程でOJT研修を実施。相談員のレベルアップに努めている。平成28年度は5名が受講した。

「昨年度までは、年金事務所の相談員に対し、4半期ごとのスキルアップ研修をしてきましたが、29年度からは実質なくなりました。会としては、なんらかの形で継続していきたいと考えています」(若林会長)

 

地域のニーズに応えるため積極的に出張相談を展開

「三重県は、南北が約180キロという細長い地形をしています。しかも、津・四日市をはじめ、鈴鹿・名張・桑名・松阪・伊勢・熊野など、それなりの規模の街が連なっています。年金事務所は5ヵ所ありますが、それだけでは住民のニーズをカバーできないため、従来から出張相談に力を入れて取り組んでいます」(若林会長)

津オフィス自体、出張相談にも対応する拠点として設立された経緯がある。

平成28年度は、鈴鹿商工会議所・上野商工会議所・名張商工会議所・亀山市役所(以上、津年金事務所管轄)、桑名商工会議所・いなべ市役所北勢庁舎(四日市年金事務所管轄)、志摩商工会議所(伊勢年金事務所管轄)、熊野市役所・御浜町役場・紀宝町役場・熊野市役所紀和総合支所(尾鷲年金事務所管轄)の11ヵ所に出向いた。

「パターンとしては、社労士会単独で実施、社労士と年金事務所職員で実施、津オフィスが実施、の3つに分かれます。社労士だけが行く場合は、年金事務所からウィンドウマシンを借り、ブースの設営から撤収まですべて自分たちで行います。毎週のところも1ヵ所ありますが、基本的には月1~2回が多いですね」

三重県社労士会の岡野逸夫事務局長は、出張相談の状況をこう話す。

若林会長(左)と岡野事務局長。

社会貢献活動の展開や他の士業との連携も模索

社労士会では、5年ほど前から社会貢献事業として、県立高校での出前授業に取り組んでいる。県教育委員会への働きかけや県議会議員への要望会などを通じ、学校教育の重要性を説明してきた。

「社会保険や雇用を含め、制度に対する国民の理解と信頼を高めるためには、これから社会に巣立っていく生徒に対する教育は重要です。日本年金機構が進める『地域年金展開事業』への協力とあわせ、会としても力を入れていきたいと考えています」(若林会長)

平成28年度は5校の県立高校で実施。605名の生徒が受講した。講師は10名ほどが登録している。

「全国社労士会連合会のテキストをベースに、各自がパワーポイントでわかりやすい資料を作成しています。特に体育館など広い場所での授業では、パワポを使わないと後方の生徒には理解してもらえません」(岡野事務局長)

また、三重大学付属病院と県庁の医療対策局において、毎月1回、がん患者の就労相談を実施。さらに、県立総合医療センターと県立こころの医療センターでは、年1回、障害年金の個別相談会を開催している。

これらの相談に対応する社労士は、公募で募集する。精神科医療を目的としたこころの医療センターでは、親御さんに対する相談にも応じている。

若林会長には、他の士業と協力し無料相談会を実施したいとの構想もある。

「実は7月11日に、社労士会と県は大規模災害時の相談会に関する協定を締結しました。社労士として社会に貢献できる場を増やしていくことも大事なことだと考えています」

と語る若林会長。今後の年金相談事業に対しては、次のように話す。

「現在、オフィスでの相談はお二人に頼っていますが、後継者を育てていくことは喫緊の課題です。社労士は年金だけでなく、雇用保険との調整や障害年金と健康保険の給付との関係など、幅広い相談に対応できる点が強みです。社労士の新人オリエンテーションでも、年金相談の仕事があることは必ず説明します。若い人たちが手を挙げるケースも増えており、裾野を広げていければと思います」

 

社労士会の概要

事務局所在地 三重県津市島崎町255

会員数 416名(開業273名、勤務等143名)

支部数 3支部

年金事務所の業務委託社労士 51名

センター数 1ヵ所(オフィス)

センターでの社労士相談員 2名

 

●津オフィスの案内チラシ

官公庁街の一画にあり、市役所にも程近く立地には恵まれている。

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