年金時代

第37回 徳島県社会保険労務士会

出張相談にも積極的に取り組み社労士の知名度アップをめざす

 

 年金記録問題を契機に相談員を独自に養成

徳島県内には、平成26年11月にオープンした「街角の年金相談センター徳島オフィス」がある。ビルの8階だが、JR徳島駅からも市役所からも徒歩5分ほどの距離で、周辺の契約駐車場も無料で利用できる。

「国民目線でわかりやすい説明を心がけています。徳島の場合は、年金事務所の混雑緩和と、距離的な問題などで年金事務所に来られない人たち向けの出張相談という2つの役割を担っています」

徳島県社会保険労務士会の米澤和美会長は、オフィスの役割をこう説明する。

オフィス長と事務職員1名のほか、7名の社労士が交代で1ブースを担当する。また、徳島市内2ヵ所の年金事務所でも、12名の社労士が業務委託契約をしている。12名のうち6名はオフィスとの兼任だ。

徳島では、平成19年に発生した年金記録問題を契機に、会独自で年金相談員の養成に取り組んできた。

「現在も毎年10月から11月にかけて、全国社会保険労務士会連合会の年金マスター研修のカリキュラムにのっとって、年金基礎研修を実施しています。相談員の裾野をできるだけ広げていきたいと考えています」

センター運営部副部長を務める大西友紀子副会長は、相談員育成の重要性をこう話す。

「研修は公募ですが、最終的に相談員として決定するのは人柄ですね。やはり対面相談では、お客様対応が最も重要ですので」(米澤会長)

オフィスの相談員は毎月1回の内部研修がある。年金事務所の相談員は、事務所職員向けの研修に参加できる。だが、12名中6名がオフィスとの兼任のため、オフィスでの研修にも参加できるようにしている。

 

さまざまな媒体を活用しオフィスの存在をアピール

オフィスの重要な役割の1つが出張相談だ。オフィスの案内チラシで「出張相談会開催!」をうたい、裏面では開催場所や日時を掲載している。

現在は、鳴門市役所(毎月第3木曜日)、吉野川市役所(毎月第4木曜日)、阿波市役所(毎月第3火曜日)、神山町役場(毎月第4火曜日)の4ヵ所で実施している。予約制で、相談時間は午前10時から午後3時までだ。

「オフィス独自で開催しています。相談員1名が、オフィスの予備のウィンドウマシンや申請書類などを持っていき相談に応じています。すべて1人での対応なので大変ですが、相談者からは喜びの声をいただきます」(大西副会長)

徳島には年金事務所が3ヵ所ある。ただ徳島市内と美馬郡つるぎ町で、県の東部と西部にあたる。南部の地域でも出張相談を実施したいのだが、距離の問題などもあり実現していない状況だ。

「チラシでは、事業所等での相談に応じることも記載しています。実際、病院や福祉事務所からの依頼もあります」(米澤会長)

社労士会ではオフィスのPRにも力を入れている。

チラシ以外では、社労士会作成のティッシュを市町村の窓口に置いてもらっている。市内を走るバスに車体広告も出した。徳島市役所での書類を入れる封筒や、郵便局での引き出した現金を入れる封筒にはオフィスの広告を掲載。FM徳島がリスナー向けに無料で配布するスケジュールノートにも広告を掲載している。

「オープンしてまだ間もないので、安いコストでできるだけ多くの方の目にふれるように工夫をしています」(米澤会長)

ただ、今年8月から年金の受給資格期間が10年に短縮されたこともあり、ここ数ヵ月は通常の倍近い相談者があるという。

米澤会長(右)と大西副会長。

 いまや年金を抜きに社労士の業務は語れない

社労士会では平成24年度から高校や専門学校での出前授業にも取り組んでいる。初めは直接、学校に出向いていたが、現在は県教育委員会に働きかけ案内をしてもらっている。

「会の組織として出前授業事業部を設置し、講師の養成や学校との調整などを担当しています。一度行った学校はリピータになるケースも多いですし、社労士個人のネットワークで頼まれることもあります」(米澤会長)

全国社会保険労務士会連合会のテキストをベースに、講師が独自に資料を作成する。昨年度は3ヵ所から依頼があった。

入院患者等に対する就労支援や障害年金の相談などは現在、会員が個人的に取り組んでいる状態だ。

こうした社会貢献活動について、米澤会長は苦しい胸の内を次のように話す。

「会員数が200名にも満たないため、人の手当やコストの問題があり、はっきりいって会としても積極的に展開できていない状況です。しかし、社労士会として社会貢献活動にも取り組んでいくべきだと思いますし、社労士自身の生活とのバランスを考えながら、今後の方針を決めていきたいと思います」

最後に年金相談事業について、

「国民サービスの向上という観点からは、相談員のスキルアップが課題です。いまや社労士の業務は、年金を外しては考えられません。社労士全体の知名度アップにもつながりますし、社労士自身の将来の仕事を考えていくうえでも大きな力になるはずです。できるだけ新人にもかかわっていただきたいですし、いい意味で年金事務所とは違うと言っていただけるように、充実させていきたいと考えています」

と力強く語った。

 

社労士会の概要

事務局所在地 徳島県徳島市南末広町5番8-8号

徳島経済産業会館2階

会員数 178名(開業135名、勤務等43名)

支部数 なし

年金事務所の業務委託社労士 12名

センター数 1ヵ所(オフィス)

センターでの社労士相談員 7名

チラシだけでなくさまざまな媒体を活用してオフィスのPRに努めている。

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