年金時代

谷内 陽一(たにうち よういち)/りそな銀行 りそな年金研究所 統括主席研究員

第7回 iDeCoの知名度は向上しているか

2017年1月から個人型確定拠出年金(イデコ:iDeCo)の加入対象がほぼ全ての現役世代に拡充されてから、はや9ヶ月が経過しました。しかし、ブームに沸いているのは、一部のマネー雑誌や金融機関だけではないかとの声もあり……

世間ではまだまだ知名度の低いiDeCo(イデコ)

2016年に可決・成立した「確定拠出年金法等の一部を改正する法律」(平成28年法律第66号)の改正事項の中でもっとも注目されているのが、本年(2017年)1月から施行された「個人型確定拠出年金(イデコ:iDeCo)の加入対象の拡大です。この改正を受けて、2016年12月末時点で約30万人だったiDeCoの加入者数は、本年7月末時点で約58万人とほぼ倍増しましたが、企業型確定拠出年金(企業型DC)の加入者数が同時点で628万人なのと比較すると、爆発的に普及しているとまでは言えません。

そもそも世間一般では、「iDeCoしてますか?」と問いかけたところで、大多数が「何それ?」と首を傾げるのが現実です。2017年6月にVOYAGE GROUPが発表した調査では、「個人型確定拠出年金」あるいは「企業型拠出年金」という用語の認知度が4割程度だったのに対し、「iDeCo」や「日本版401K」の認知度は2割弱と、同じ制度でも表記によって認知度に差があることがうかがえました。一方、マネックス証券が2017年9月に発表した調査では、iDeCoについて過半数(51.0%)が「名称も制度の内容も知っている」と回答したものの、「口座を開設し利用している」と回答したのは全体の15.5%に留まっています。

〔iDeCoの知名度・認知度に関する直近の調査一覧〕

●VOYAGE GROUP(2017年6月発表) https://voyagegroup.com/news/press/01_20170628_01/
●マネックス証券(2017年9月発表)  https://info.monex.co.jp/survey/pdf/survey_201709.pdf#page=2

「Google Trends」で見るiDeCoの検索ボリューム

さて、「確定拠出年金」や「iDeCo」という用語ですが、実際のところ、どの程度認知されているのでしょうか? 一つのヒントとして、本稿ではGoogle Trends(※)を用いて、2016年1月以降の検索トレンドを分析してみます。

2016年の前半でトレンドが確認できるキーワードは、「確定拠出年金」「個人型確定拠出年金」のみです。「確定拠出年金」の方が検索ボリュームが大きいのは、前述のVOYAGE GROUPの調査結果とも整合しています。同年9月に「iDeCo」という愛称が決定・公表されてからは、「iDeCo」「イデコ」の検索ボリュームも徐々に増加し、2017年に入ると「個人型確定拠出年金」を上回るようになりました。全体の傾向を見ると、改正法が可決・成立した2016年5月下旬や、加入対象拡大が施行された2017年1月初旬は検索トレンドが急上昇しましたが、現在はやや沈静化しています。

いずれにせよ、iDeCoの普及の鍵を握るのは「まず知ってもらうこと」です。厚生労働省や国民年金基金連合会はiDeCoの普及広報活動に力を入れていますが、今後は、費用対効果を踏まえたより効果的な施策が急務であると言えます。

Googleトレンドによる分析結果(2017年9月15日時点)

※Google Trends: Google社が開発した、ある単語がGoogleでどれだけ検索されているかの頻度や趨勢をグラフで見ることができるツール。2006年5月公開(https://trends.google.co.jp/trends/)。

 

【今回のまとめ】

個人型確定拠出年金(iDeCo)の知名度・認知度の向上は急務だが、女性タレントやイルカのキャラクターしか印象に残らないメディア広告を見るにつけ、普及への道のりはまだなお遠く険しい……
谷内 陽一(たにうち よういち)/りそな銀行 りそな年金研究所 統括主席研究員
厚生年金基金連合会(現:企業年金連合会)で約10年にわたり記録管理・数理・資産運用等の業務に従事。全労済協会などを経て、2010年りそな銀行入社。社会保険労務士、証券アナリスト(CMA®)、1級DCプランナー、DCアドバイザー。2015年より日本年金学会幹事。
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