年金時代

香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使

第11回 どっちが先進国? アゼルバイジャンのIT事情【中編】「電子政府」

IDカードで全ての行政手続ができる

そこで、百聞は一見にしかず。実際に現場に行って見てくることにしました。

バクー市内にあるASANセンターの一つ。結構大きいです。ビルの左側にある花みたいなマークはASANセンターのシンボルロゴマークです。

 

正面入口を入ると総合案内があります。この裏側が階段とエレベーター。案内の左右に案内板があり、各階でできる手続が一覧で分かります。視覚障害者用の案内パネルもありました。

 

まず、行ってみて驚いたのは、センターの中が住民で溢れかえっていたことです。

子供を抱えた母親や年金受給者と思しき高齢者、スーツを着た会社員、障害のある市民、普通の若者、自営業者風のおじさん、文字通り老若男女で廊下は満杯です。

 

センター内の様子。左右にずらりと受付窓口が並び、上部の窓口番号掲示板に今受け付けている人の番号が掲示されています(赤が受付窓口の番号、緑は今受け付けている人の番号です)。

 

中を歩くと、「受付端末機」が置いてあります。

 

 

下部にIDカードを挿入すると画面上部に自分の名前と顔写真が出てきます(今出ているのは私の秘書の顔写真と名前です)。

自分で間違いない、と確認できたら、画面上に示されたサービス(AからNまで、ここでは14通り表示されています)の中から、自分が受けたいサービスを選択します。

そうすると、自分の受付番号が表示された受付票(カード)が出てきて、それを持って各サービスの窓口(AからNまでのどれかの窓口)に行きます。

後は日本の銀行なんかと同じで、窓口の掲示板に自分の受付番号が表示されたら、そこの窓口に行って手続をします。

日本と大きく違うのは、廊下に「書類書きのカウンター」が殆ど見あたらないことです。

市民は窓口に行って、IDカードを見せ、必要な手続を申告すれば、その場で処理が行われます。特に追加情報が必要になる手続以外は、いちいち申請書を書いて窓口に持って行く必要はありません。

 

サービス窓口ごとに今何人「お客さん」がいるか(待っているか)を示す掲示板。

 

「手数料支払機」や前回お話しした「オールマイティ端末」も各所に置いてあって、手数料や税金、交通違反の罰金などの支払いは窓口に行かなくてもそこで用が足ります。

 

公共料金・手数料支払機。

 

文字通り、IDカードがあれば可能な、およそ考えられる全ての手続がここでできる体制になっています。

なるほど。住民で溢れかえっている理由がよく分かりました。

次ページ:実際に大使館現地職員に手続してもらった

香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使
東京都出身。1980年東京大学法学部卒業後、厚生省入省。在フランスOECD事務局研究員、年金局年金課年金制度調整専門官、埼玉県生活福祉部老人福祉課長、厚生省大臣官房政策課企画官(高齢者介護対策本部事務局次長)、厚生労働省政策統括官(社会保障担当)・内閣官房内閣審議官(社会保障・税一体改革担当)併任、年金局長、雇用均等・児童家庭局長などを経て2016年6月辞職。2017年3月より現職。著書に『教養としての社会保障』(東洋経済新報社)
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