年金時代

香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使

第11回 どっちが先進国? アゼルバイジャンのIT事情【中編】「電子政府」

平均一日2,000-3,000人の行政手続を処理

それでも、まだ疑い深い私は、「実際に手続してみないとホントに『ワンストップ』かどうか分からないじゃん」と思い、たまたま「パスポートの再発行をしないと」、といっていた大使車の運転手(=大使館現地職員)にその場でパスポートの発行手続をやってもらいました。

まず総合受付端末に行ってIDカードを挿入し、自分の名前と顔写真を確認して、画面上の「パスポート発行」を選択して、番号カードを受け取ります。

次に表示された窓口に行き、順番待ち。5分くらいで順番が回ってきました。

「パスポート再発行ですね。じゃ、写真撮りますから」とその場で写真撮影。

写真を確認して「これでいいですか? もっと美男子に撮り直しますか(笑)?」とか冗談を言いながら写真決定。

「はい。じゃ来週火曜日(注:その日は金曜日でした)に来て下さい」

以上おしまい。所要時間は10分でした。

ホントにこれだけです。書類も書かないし、あっちこっち窓口を回ったり、印紙を買ったり貼ったりもなし!!!

 

我が大使車運転手のDavidさん。IDカードと受付票を持って窓口へ。奥で写真を撮って所要時間10分で終了。

 

「じゃ、来週火曜日以降に取りに来て下さい。手数料はあっちの端末で払って下さいね」
私の秘書が2008年に申請した時は、朝6時から行列して手続が終わるまでに8時間かかったそうです。

 

各ASANセンターでは平均一日2,000人-3,000人の行政手続を処理しています。受付状況は全てリアルタイムで把握でき、各センターの管理部門でも大統領府の担当部局でも、それぞれのセンターごとの処理件数、待ち人数、平均待ち時間を随時知ることができます。

2013年1月の本格稼働以降、人口1,000万人弱のこの国で、累計1,600万件、300万人以上の行政手続を処理したそうです。

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香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使
東京都出身。1980年東京大学法学部卒業後、厚生省入省。在フランスOECD事務局研究員、年金局年金課年金制度調整専門官、埼玉県生活福祉部老人福祉課長、厚生省大臣官房政策課企画官(高齢者介護対策本部事務局次長)、厚生労働省政策統括官(社会保障担当)・内閣官房内閣審議官(社会保障・税一体改革担当)併任、年金局長、雇用均等・児童家庭局長などを経て2016年6月辞職。2017年3月より現職。著書に『教養としての社会保障』(東洋経済新報社)
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