年金時代

年金時代編集部

第38回 宮崎県社会保険労務士会

相談員の養成と年金相談事業の充実の両立が課題

 

宣伝効果と認知度アップで相談件数が激増

宮崎県内では、平成27年12月1日に「街角の年金相談センター宮崎オフィス」がオープンした。JR南宮崎駅から徒歩3分ほどの「宮交シティ」というバスの運行拠点となっているショッピングセンターの2階に設置されている。

「気軽に立ち寄って、ゆったりしたスペースで年金相談や手続もできます。たくさんの方に利用していただくオフィスをめざしています」

と話す宮崎県社会保険労務士会の橋口剛和会長。社労士会では、オープン当初からオフィスのPRに力を入れてきた。

チラシやポスターはもとより、バスの車体広告、新聞広告、市内の電光ビジョン、宮崎駅の電光掲示板、ラジオCMなど、さまざまな媒体を活用。現在も宮崎駅の電光掲示板のほか、市役所庁舎内のモニター、市役所の公用封筒、自治会の回覧板の表紙などにオフィスの広告を掲載している。

一方で、利用者からは「宮交シティ内のどこにあるかわかりづらい」との指摘もあった。そこで、日本年金機構とも相談し、2階フロアの床に矢印でオフィスまでの道案内を作成。手作りの看板も置いて、わかりやすさに努めている。

平成29年度の月別相談件数を見ると、4月:480件、5月:548件、6月:708件、7月:768件、8月:856件と、急激に増加している。

「今年8月から受給資格期間が短縮されたことの影響はあると思いますが、口コミや宣伝の効果も含め、認知度が高まってきたことを実感しています」(橋口会長)

 

オフィスではチームワークを重視して相談にあたる

年金相談は、オフィス長と4名の社労士が交代で1ブースずつを担当している。常勤の事務職員も1名いる。

「お客さま目線での親切・丁寧な対応を心がけています。オフィス長とは毎月打ち合わせをしています。社労士相談員はベテランばかりで、情報セキュリティの教育も受けています。私から特に注意するようなことはありません。ただチームワークが大事なので、お互いに助け合って日々取り組んでいます」(橋口会長)

県内4ヵ所の年金事務所でも19名の社労士が業務委託契約をしている。宮崎が2ブースで、高鍋・延岡・都城が1ブースずつだ。オフィスの相談員は、すべて年金事務所も兼任している。

平成28年7月からは毎月1回、日南市で出張相談を実施している。年金事務所の職員とオフィスの社労士相談員1名が、ウィンドウマシンを持参して相談に応じる。

社労士会では年に1~2回、全国社会保険労務士会連合会のカリキュラムに則り、相談員の養成講座を開催している。

「公募していますが、なかなか手が挙がらないのが実情です。現在の相談員も年金相談に特化したいという方は少数派で、通常の社労士業務をやりたい人が圧倒的です。相談員の年齢が上がっていく問題だけでなく、相談員の交代は当然出てきます。恒常的な養成・育成は課題ですが、正直いってギリギリの状況で対応している面もあります」

橋口会長は相談員の養成・確保の難しさをこう話す。そのうえで、

「相談件数が増えているのは喜ばしいことですが、今回の受給資格期間への対応など期間限定でブースを増やすことはできても、日常的に3ブースにすることは私どもでは困難です。集客を図りながら、丁寧な相談をどう継続していくかを考えていきたいと思います」

と心中を漏らす。

 

「オフィスの認知度の高まりを実感している」と話す橋口会長。

 

出前授業は大学からスタートし高校にも拡充

社労士会では、平成22年度から短大・大学での出前授業に組織的に取り組み始めた。2年ほど前からは、高校にも広げようとした。だが、すでに県教育委員会と労働局が連携して県立高校に対する労働教育に取り組んでいた。普通科系と職業系の高校で隔年ごとに実施していたのだ。

「それなら私どもは、私立や専門学校を対象にしようかとかいろいろ考えたのですが、昨年、県教育委員会と接点を持つことができ、校長会でも話をしていただくことができました。その結果、昨年度は県立高校からの依頼がありました」

平成28年度の実績は、短大・大学が9件、県立高校が5件の14件だった。会としては事業委員会で対応。講師は公募で登録し、講師どうしの情報交換も定期的に行っている。

「社労士であれば、働くことだけでなく、年金や社会保険も含めた話ができます。若い方々に社労士の仕事や位置づけを知ってもらうよい機会ですので、今後も継続して取り組んでいきます」(橋口会長)

また、県が「仕事と家庭の両立応援宣言」の普及を推進していることもあり、県からの委託を受け、社労士会として企業を訪問し、宣言内容の実現を支援している。昨年度は117事業所、今年度は50事業所ほどを訪問する予定だ。

最後に、橋口会長は年金相談事業の課題と今後のあり方を次のように話す。

「さきほども申しましたように、相談員の養成には努めていますが、ブースや人数を増やすことには限界があります。言い換えれば、必要に応じた対応で年金機構と協力していくことが、個人的には現実的だと考えています。一方で、年金記録問題に端を発し、センター運営に携わることで社労士の知名度が上がったことも事実です。年金の専門家としての旗を降ろすつもりはありません。連合会とも連携して一人ひとりの社労士が考えていかなければならないと思っています」

社労士会の概要

事務局所在地 宮崎県宮崎市大和町83-2 鮫島ビル1階

会員数 226名(開業176名、勤務等50名)

支部数 4支部

年金事務所の業務委託社労士 19名

センター 1ヵ所(オフィス)

センターでの社労士相談員 4名

市役所の公用封筒(右)とオフィスの案内チラシ。

 

宮交シティ2階のフロア床にはオフィスの位置情報を掲示している。

年金時代編集部
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