年金時代

香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使

第13回 民主主義と法の支配 権力の腐敗・汚職に立ち向かうには(1)

みなさんこんにちは。

本稿は外務省ともアゼルバイジャン大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見ですのでよろしくお願いします。

「社会の多様性・寛容」をテーマとしたEU代表部主催のイベントに感動

バクーはすっかり秋の気配となりました。アゼルバイジャンでも秋は「芸術・文化・スポーツの季節」です。各大使館も様々なイベントを競うように開催しています。10月12日から1週間、EU代表部主催の「Euro Tolerance Festival」というイベントがありました。「社会の多様性・寛容」をテーマに、EU加盟各国大使館と趣旨に賛同するEU以外の各国大使館・国際機関代表部も参加して、それぞれに映画、演劇、コンサートなどを催すものです。今年は24の国と国際機関が参加しました。どれもなかなか水準の高いイベントでしたが、私が参加したイベントのうちのいくつかを紹介します。

まずはラトビア大使館主催のドキュメンタリー映画、「Ruch and Norie」。

ラトビアに留学した日本の女子学生Norie(ノリエ)がSulieという地方都市に住むRuchという一人暮らしのおばあさんの家にホームステイする、という話です。

Trailer はここで観ることができます。 http://nkc.gov.lv/en/archive/ruch-norie/

ラトビアはバルト海に面した人口200万人ほどの小さな国です。

2年以上の撮影期間をかけ、ラトビアと日本(名古屋)の双方でロケを行い、ラトビアの自然や人々の暮らしぶり、日本の都市の日常や若者の生活、そして世代を超えた二人のふれあい、心の交流を描くことを通じて、日本人の目から見るラトビアや異国でのホームステイの経験を通じてノリエが成長していく姿を描いています。

当日は監督も来訪して舞台挨拶をし、観客の質問にも答えてくれました。監督はラトビア人の女性、スタッフもほぼ全員ラトビア人。現代日本の情景も非常によく描かれていて驚くほどです。

ラトビア語と日本語の会話に英語字幕という映画ですが、言葉が通じなくても映像だけでこれほどの情感とメッセージが伝わるということを改めて感じさせてくれた素晴らしい映画でした。ぜひ日本でも上映してもらいたい秀作です。

もう一つはイスラエル大使館主催のシアターパフォーマンス「The Theater that educates for Peace」です。

台詞なし、音楽と振り付けだけの舞台劇。

主催劇団(Beresheet la Chalom Rainbow Theater Group)についての情報はこちら
http://www.masksoff.org/EN/the_theatre.htm

20人ほどの若者が壇上に登場します。最初は全員白いガウンを着て、一緒になって踊っています。ふとしたきっかけでその中の二人が諍いを起こし、お互いのガウンを剥ぎ取ります。ガウンの下の衣装の色は一人はオレンジ、もう一人は紫。これをきっかけに全員がガウンを脱ぎ捨て、オレンジと紫にわかれてお互いにいがみ合い、武器を持って争い合い、そして最後は全員傷ついて倒れます。その中で、1組の男女が恐る恐る手を伸ばし、お互いを抱き上げます。そこから、一つまた一つとカップルが生まれ、というストーリー。

最後に一人一人の若者が自分の未来の夢を語り、大団円となります。

ダンサーの国籍は10カ国以上、アラブ人、ヨーロッパ人、アジア人、もちろんユダヤ人、アゼルバイジャン人もいます。主宰する振り付け師は南米出身の女性です。

バクーでこんな素晴らしいイベントを見ることができるとは思っていませんでした。

来年はぜひ日本も参加できないかなあと思いました。でもやるとなれば当方に「知恵と力と勇気」が要るし、何よりも予算が要ります。本省にお伺い立てないと(笑)。

次ページ:今回の本題です。

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香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使
東京都出身。1980年東京大学法学部卒業後、厚生省入省。年金局年金課課長補佐、埼玉県生活福祉部老人福祉課長、厚生省大臣官房政策課企画官(高齢者介護対策本部事務局次長)、厚生労働省政策統括官(社会保障担当)・内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)併任、年金局長、雇用均等・児童家庭局長などを経て2016年6月辞職。2017年3月より現職。
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