年金時代

香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使

第16回(番外編)性暴力と性教育(2)「同意」することの意味

皆さんこんにちは。

本稿は外務省ともアゼルバイジャン大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見を筆者個人の責任で書いているものです。内容についてのご意見・照会等は全て編集部経由で筆者個人にお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いします。

さて。今回は前回の続きです。

前回、性的行為において、本人(特に女性側)の自由意思や自己決定権が著しく軽視されていること、そのことが性暴力の背景にあることを私たちは真剣に受け止めなければならない、というお話をしました。

今回はこのことをもう少し突っ込んで考えてみたいと思います。

性的行為における「同意」あるいは「合意」の意味についてです。

性暴力と「同意」の意味

前回お話ししたBBCの寸劇を思い出してみて下さい。

「お酒飲んで、男性と二人になって、ホテルに付いていった。そこまで行ったら状況的に同意したも同じ。しかも明確に『いやだ』と言ってないのだから、暗黙の同意があったとみなされても仕方がない。付いていった方にも責任がある(だから犯罪は成立しない)。」

性暴力の話になると、そんな論調が結構あるように思えます。

「『相手を誘うようなsexualな服装をしていたんだから』『はっきりいやだと言わなかったんだから』『誘われてお酒を一緒に飲んだんだから』『前後不覚になるまで酔ったのは自分の責任なんだから』『抵抗できない状況を作った(抵抗しなかった)のはあなた自身でもあるんだから』……だから、あとで何が起こってもあなたの責任です。あなた『大人の女』でしょ。」

考えてみましょう。本当にそうでしょうか?

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香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使
東京都出身。1980年東京大学法学部卒業後、厚生省入省。年金局年金課課長補佐、埼玉県生活福祉部老人福祉課長、厚生省大臣官房政策課企画官(高齢者介護対策本部事務局次長)、厚生労働省政策統括官(社会保障担当)・内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)併任、年金局長、雇用均等・児童家庭局長などを経て2016年6月辞職。2017年3月より現職。
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