年金時代

第40回 福井県社会保険労務士会

相談員の確保・養成が喫緊で最大の課題

年金事務所の出張相談にもオフィスで対応

福井県内では、平成28年1月25日に「街角の年金相談センター福井オフィス」がオープンした。JR福井駅前の再開発によって建設されたシンボル的なビルの2階にある。ビル内には市のサービスセンターや図書館、公民館などの施設も入り、地下には駐車場も完備されている。福井年金事務所とは徒歩5分ほどの距離だ。

「お客さまにとって来やすく、居心地のよいオフィスをめざし、社労士会の名に恥じないよう、接遇も含めて取り組んでいます」

福井県社会保険労務士会の戸嶋哲也会長はこう話す。

オフィス長と受付やバックヤードを担当する事務職員が常勤し、2ブースでの相談には8名の社労士が交代であたっている。実は事務職員も社労士だ。

「県内にはウィンドウマシンを操作できる社労士が16名います。その人たちがオフィスや県内3ヵ所の年金事務所での相談業務に従事しています」

年金担当の徳橋利子副会長が説明する。

16名のうち、オフィスの専任が2名、年金事務所の専任が8名、オフィスと年金事務所の兼任が6名という陣容だ。ローテーションなどは事務局で行っている。

このほか社労士会では、年金事務所が主催する出張相談にも対応している。福井年金事務所管轄では、勝山市民会館で毎月第2木曜、坂井地域交流センター(坂井市)で毎月第3木曜、大野商工会議所(大野市)で毎月第4木曜に実施。敦賀年金事務所管轄では、毎月第2・4木曜に小浜市文化会館で実施しており、年金事務所の社労士相談員2名が担当している。いずれも年金事務所の職員が同行する。また、福井年金事務所管轄の出張相談では、オフィスとしてウィンドウマシンを持参して出向いている。

 

自主的な勉強会でレベルアップをサポート

オフィスでは毎月、内部研修を実施している。バックヤード担当の社労士が全国社会保険労務士会連合会の講師研修を受講しており、他県での研修に講師として出向く場合もある。逆に、他の地域の講師が福井オフィスに来るケースもある。

年金事務所の相談員に対しては、これまで3ヵ月ごとのスキルアップ研修があったが、平成29年度からは基本的になくなった。

「福井では、社労士会として継続して実施しています。オフィスと兼任している方は、オフィスでの研修に参加してもらっています」(嶋田薫事務局長)

これとは別に、徳橋副会長が講師を務める自主的な勉強会がある。オフィスのオープンに向けて始めたのがきっかけだ。

「ブースに座ったら、だれかに聞くことはできません。そのため、マスター研修の受講者を対象に、制度のしくみを勉強してもらっています。オフィスの入っているビルの共有スペースで、週に1回、3~4ヵ月ほど行います。これは、現在も続けています」(徳橋副会長)

戸嶋会長も対面相談の難しさを次のように話す。

「年金相談は、その人の人生に寄り添うものです。大変気を遣いますし、時にはお叱りを受けることもあります。相談員のメンタル面や人間関係も含め、会の運営部として全体を見ていく必要があると思っています」

左から戸嶋会長、青垣副会長、徳橋副会長。

 

年金における社労士の役割の重要性は拡大の方向へ

社労士会では、社労士制度40周年を機に、10年ほど前から学校や地域の公民館などでの出前授業を始めた。当初は県や市の教育委員会に働きかけ、協力を要請したが、現在は口コミに頼っているのが実情だ。昨年度は高校4件、大学2件から依頼があった。

「要請に応じ職業生活を中心に、社会保障全般の話をします。講師は特に登録制はとっておらず、地域やスキルを考慮して決定しています。テキストは全国社会保険労務士会連合会のものをベースに、必要に応じて講師が独自の資料を用意します」(戸嶋会長)

また、石川・富山を含めた北陸3県では、ゆうちょ銀行と社労士会が契約し、年金事業のサポートを行っている。

「職員の研修やお客さまへの説明などを中心に活動しています。ゆうちょ銀行のサポートセンターに派遣する社労士は、年金事務所やオフィスで年金相談に従事している会員や出前授業の講師の中から選ぶケースが多いですね」

青垣智則副会長はこう説明する。

福井県社労士会の会員数は260名ほどで、ここ数年横ばいの状態だ。その中で16名の社労士でオフィスや年金事務所での年金相談に対応している。

「はっきりいって予備はいない状況です。相談員自身も高齢化しますし、すべての社労士が年金に特化しているわけでもありません。毎年、年金マスター研修や実務者研修の公募はしますが、今年度は1名しか手が挙がりませんでした。相談員の確保と養成は喫緊の課題です。一方、マイナンバーとの関連で、年金に特化した社労士を養成していくことは時代のニーズにマッチしており、それが相談員の育成にもつながってくるのではないでしょうか。今後の展開を早急に具体化したいと考えています。また、オフィス自体が狭く、改善の余地があると思っています」

戸嶋会長は、年金相談事業の今後の方向性をこう語る。

社労士会の概要

事務局所在地 福井県福井市大手3-7-1 繊協ビル3階

会員数 264名(開業202名、勤務等62名)

支部数 3支部

年金事務所の業務委託社労士 14名

センター 1ヵ所(オフィス)

センターでの社労士相談員 8名

福井オフィスのチラシ。上はオープン時に新聞に折り込んだもの。

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