年金時代

第11回 確定給付型と確定拠出型、何が「確定」しているの!?

企業年金の世界では、給付建て(Defined Benefit:DB)と掛金建て(Defined Contribution:DC)は水と油のごとく別物であると認識されています。しかし、両者は言われているほど正反対なものなのでしょうか?

財政運営上の基本構造は同じ(掛金+運用収益=給付)

企業年金に限らず、年金制度の形態は、給付建て(DB)掛金建て(DC)の2つに大きく分けられます。給付建てとは、給付の算定式があらかじめ定められており、当該給付を支払うために必要な掛金を算定する制度を言います。一方、掛金建てとは、掛金の算定式があらかじめ定められており、当該掛金と運用収益の元利合計により給付額が決まる制度を言います。

DBもDCも、収支相等の原則(給付=掛金+運用収益)に基づいて財政運営を行う点では、どちらも差異はありません。ただし、運用収益が想定を超えて変動した場合、DBでは掛金を、DCでは給付をそれぞれ変動させて財政の均衡を図ります。そのため、企業年金におけるDBとDCの違いは、資産運用の主体とリスクの担い手が事業主(掛金を出す側)なのか加入者・受給者(給付をうける側)なのかの違いとなって表れます。

DBでも給付は変動するし、DCでも掛金は変動する!?

ところで、わが国では、「給付建て」「掛金建て」という表記ではなく、英語のdefined(確定した)を直訳した「確定給付型」「確定拠出型」という表記が用いられることが多く、ついには法律や制度の名称として採用されてしまいました。そのため、本来は制度設計の類型を意味するDB・DCという表記が、制度そのものを表す意味で使用される例も少なくありません。

しかし、「確定」という表記は、その語感の強さからあらぬ誤解を招いてしまいがちです。たとえば、確定給付型と聞くと「給付額が確定している」と思い込みがちですが、確定しているのは給付算定式(給付額=給与×勤続期間など)であり、この場合、給与水準や勤続期間が変動すれば、給付額も自ずと変動します。このほか、企業業績が芳しくないと、給付減額という形で事後的に減額される場合もあります。

確定拠出型もまた同様で、企業型DCでは掛金額を「給与×一定率」と定めているのが一般的ですが、この場合、勤続期間や給与水準に応じて掛金額が変動します。つまり、確定給付型や確定給付型といっても、給付額や掛金額が固定されているという意味ではないということに留意が必要です。ともあれ、法令・制度に対する行政側のネーミングセンスの欠如が、企業年金をややこしくしている感があります。

 

【今回のまとめ】

DBやDCで確定しているのは、給付や掛金の「金額」ではなく、それらを決める「算定式」である!
年金時代