年金時代

第43回 沖縄県社会保険労務士会

街角の年金相談センター(オフィス)の設置を要望!

独自のカリキュラムで相談員養成に取り組む

沖縄県社会保険労務士会では現在、4ヵ所の年金事務所で13名の社労士が業務委託契約をしている。那覇事務所が3ブース、浦添・コザ・名護の各事務所は1ブースずつだ。当初は年金マスター研修の修了者が務めていた。マスター研修がなくなってからは、全国社会保険労務士会連合会のカリキュラムをベースに、会として相談員養成に努めている。

「eラーニングで勉強してから、年金事務所の協力を得て相談員の後ろで見るところから始め、徐々にブースに座って相談に応じる実践研修をしています。最終的には指導役の相談員の意見を聞いたうえで、独り立ちしてもらいます」

年金担当の宮崎真行副会長は、養成の手順をこう説明する。

特に公募は行わず、原則として会員の自主性に任せている。

「新人会員の面談の際に会の事業を説明しますが、その中で年金相談事業についても話をします。前年の新人が翌年から相談員としてデビューした例もあります。ただ対面相談は知識があるだけではだめで、窓口での経験が必要です。セキュリティの問題もありますし、心構えをきちんと説明することが大事だと考えています」

富川泰幸会長は、年金相談員の責任の重さをこう表現する。

接客術については、年金事務所が主催するマナー研修に参加する。

「金融機関出身の社労士が相談員にいらっしゃいます。接客に関しては、他の相談員の参考になることが多いですね」(安田ひろみ専務理事)

年金事務所での相談以外では、毎年10月の社労士制度推進月間に那覇市やその近隣の商業施設などで、無料相談会を実施している。

「年金事務所と連携し、オンライン端末(ウィンドウマシン)を使って相談に応じます。やはりウィンドウマシンがないと、個別のニーズに応えられませんので」(富川会長)

社労士会事務局では、毎週第1・第3土曜の午後に、年金相談センターと総合労働相談所を開設。2名の社労士が対応している。

 

会員向け研修を充実させ相談員としての下地づくり

沖縄県社労士会が力を入れているのは、年金に関する会員向けの研修だ。

年金事務所の相談員に対しては、平成28年5月から奇数月の第4土曜の午前に「実践年金研究部会」を開催している。社労士相談員が指導役になり、事例研究や情報交換を中心に専門的な知識を習得することがねらいだ。

一般会員向けには、平成18年から奇数月の第4土曜の午後に「年金研究部会」を開催。会員であれば参加は自由で、会場の確保や資料などは会がバックアップする。参加者は5~6名ほどだが、富川会長は、

「この部会のおかげで、年金に興味を持つ会員を発掘することができ、相談員への移行もスムーズにいっていると思います」

と、部会の存在が相談員養成の下地となっている点を強調する。

さらに、一般会員がウィンドウマシンに触れる機会も年1回提供している。年金事務所の開庁日である第2土曜に、年金事務所から講師を迎え社労士相談員が補佐となり、デモを使ったウィンドウマシンの研修を行っているのだ。

実は沖縄県社労士会では平成27年12月、日本年金機構九州ブロック本部に街角の年金相談センター(オフィス)の設置要望を提出した。その後、準備委員会を立ち上げ、年金機構とも4回ほど協議を行っている。宮崎副会長が準備委員会の委員長を務めている。

「他県の状況も見ながら進めているところです。オフィスが設置されれば、2ブースが常設されますので、相談員の数も増やしていく必要があります」(宮崎副会長)

「九州地区では、沖縄だけオフィスがありません。オフィスができれば、離島での出張相談も可能になりますし、県民の利便性に寄与できます。相談員の育成でもオフィスの果たす役割は大きいと考えています」(富川会長)

富川会長(中央)、宮崎副会長(左)、安田専務理事(右)

 

大学での「講演会」と高校・専門学校などの出前授業を住み分け

沖縄県社労士会では15年ほど前から、県内の4年制大学で社会保険や労働関係をテーマにした「講演会」を開催している。当時は正副会長が学長のもとを訪れ、直接依頼したという。現在は短期大学や看護学校などにも広がっている。

「大学での講演は会の社労士制度推進月間事業の一環として実施しています。ただ、最近は就職前の進路相談的な利用のされ方も増えてきました。改善の工夫が必要かなと思っています」(富川会長)

一方、昨年には「学校教育等研究部会」を立ち上げた。こちらは高校や専門学校、自治会や各施設などからの依頼に対応する、いわゆる社会貢献事業としての出前授業との位置づけだ。昨年は10月から12月にかけて専門学校6校から依頼を受けて講師を派遣した。会として独自のテキストを作成し、共通の授業を展開している。

がん患者の就労支援では、琉球大学医学部付属病院からの要請で、平成27年1月から2人の社労士が相談に応じている。那覇市立病院でも同年9月から就労支援を行っている。

「患者さんだけではなく、職員に対する講義も行っています。ただ、両病院とも単独での開催が難しいということで、昨年9月から沖縄産業保健総合支援センターを利用するようになりました。センターで相談に応じているのも社労士なのですが、会として受託する形ではなくなりました」(富川会長)

 

働き方改革では地元紙に連載記事を掲載

沖縄県では平成29年11月22日、内閣府沖縄総合事務局と沖縄労働局を中心に、経済界・士業団体など20団体が発起人となって「働き方改革・生産性向上推進運動」の発足式が開催された。社労士会も発起人の1人だ。その中で、社労士会では活動取り組みとして①事業所に対する労務診断ドックの無料実施、②常設の総合労働相談所での相談、③行政や各機関と協力した周知活動やセミナーの実施、の3項目を掲げている。

昨年は事業主向けに働き方改革セミナーを開催。80名が参加して好評を博した。セミナーは平成30年度も実施する。周知の一環として今年1月からスタートしたのが、地元紙・沖縄タイムスでの働き方改革に関する連載記事だ。

「第2・第4火曜の暮らし面に掲載しており、会員が交代で執筆しています。毎回気になる数字と言葉を取り上げ、会話形式で法律や取り組み方を解説しています。1年間掲載する予定です」(安田専務理事)

「働き方改革は暮らしに直結するものです。県民の方にもわかりやすく伝わるよう、社労士会として責任をもって取り組んでいます」

富川会長はこう結んだ。

社労士会の概要

事務局所在地 沖縄県那覇市前島2-12-12   セントラルコーポ兼陽205号室

会員数 197名(開業139名、勤務等58名)

支部数 なし

年金事務所の業務委託社労士 13名

センター 未設置(設置申請中)

 

●出前授業で使用する独自のパワポ教材

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