年金時代

香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使

第22回 ノヴルズ祭―春を告げる平和な祭りとそれを支える「社会の安定」

みなさんこんにちは。
本稿は外務省ともアゼルバイジャン大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見を筆者個人の責任で書いているものです。内容についてのご意見・照会等は全て編集部経由で筆者個人にお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いします。

アゼルバイジャン最大の祝祭ノヴルズ

前回お話ししたように、ここアゼルバイジャンでは、3月下旬に「ノヴルズ Novruz」という大きなお祭りがあります。今年は3月19日から26日までの1週間、官公庁も職場も学校もお休みとなり、国中でノヴルズを祝う行事が行われました。
「ノヴルズ」とはペルシャ語で「新しい日=新年」という意味だそうで、春の到来=新年を祝う祭りです。古代ペルシア・ゾロアスター教に起源のある3,000年以上の歴史のあるお祭りで、2009年にユネスコ無形文化遺産に登録されています。
アゼルバイジャンだけでなくイランや中央アジア各国でも祝われており、アゼルバイジャンでは一年間を通じて最大の祝祭日です。

人類は古今東西、寒い冬が明けて春になるのを待ちわびて暮らしてきました。春は草木が芽吹き、動物に新しい命が産まれる「復活と再生」の時でもあります。
中国の「春節」、キリスト教世界の「復活祭Pâques (Easter)」、日本の旧正月、春=新年を祝う祭りというのは世界中にありますよね。
(ちなみに復活祭は旧約聖書時代の「過越の祭り」を雛形とした祝日ですが、英語(Easter)の語源はゲルマン神話の春の女神「エオストレ(Eostre)」に由来しているそうです)

この時期になると、どこの家庭でも、緑の植栽(小麦の若穂)や色とりどりのお菓子を用意してノヴルズを祝います。

こんな感じの飾り付けです。手前の平行四辺形のお菓子は「Pafurava」という菓子。トルコや中央アジアにもあるこの地域の伝統的なお菓子。ものすごく甘いです。

 

伝統衣装で着飾ったカップル2組(すてきな写真でしょ!)。

この時期、外国からも多くの観光客がバクーを訪れますが、一番多いのはイランからの観光客なんだそうです。もちろんイランでもこの時期はノヴルズで休日になるということがありますが、アゼルバイジャン人に言わせると「イランは戒律が厳しくて息苦しいからね、みんなここに来て息抜きするんだよ。イランじゃお酒はもちろん飲めないし、女性が彼氏と腕組んで歩くのだって難しいだろ」とのこと。確かにこの時期、街には一見してイラン人とわかる観光客(家族連れ、カップル)をたくさん見かけました。

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香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使
東京都出身。1980年東京大学法学部卒業後、厚生省入省。在フランスOECD事務局研究員、年金局年金課年金制度調整専門官、埼玉県生活福祉部老人福祉課長、厚生省大臣官房政策課企画官(高齢者介護対策本部事務局次長)、厚生労働省政策統括官(社会保障担当)・内閣官房内閣審議官(社会保障・税一体改革担当)併任、年金局長、雇用均等・児童家庭局長などを経て2016年6月辞職。2017年3月より現職。著書に『教養としての社会保障』(東洋経済新報社)
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