年金時代

谷内 陽一(たにうち よういち)/りそな銀行 りそな年金研究所 統括主席研究員

第13回 存在感を増しつつある「総合型DB基金」─その1

厚生年金基金の新規設立停止等の措置が盛り込まれた改正厚生年金保険法が2014年4月に施行されて早4年が経過しました。今回は、厚生年金基金に代わる中堅・中小企業の退職給付制度の新たな受け皿として近年台頭している総合型DB基金(総合型確定給付企業年金基金)について解説します。

総合型DB基金とは

2014年4月に改正厚生年金保険法が施行されて以降、総合設立厚生年金基金の後継制度として総合型DB基金(総合型確定給付企業年金基金)を設立する動きが相次いでいます。ここ数年の資産運用の好調を受けて、厚生年金基金の積立不足が回復・解消したという事情もありますが、中小企業における退職給付制度の選択肢として、依然高いニーズがあることも見逃せない大きな要因です。

厚生労働省の通知(総合型確定給付企業年金の指導等について(平成20年12月19日年企発第1219001号))によると、総合型DBは「2以上の厚生年金適用事業所の事業主が共同して実施する確定給付企業年金(ただし、当該厚生年金適用事業所間の人的関係が緊密である場合等を除く)」と定義されています。本質的には総合設立厚生年金基金とほぼ同様の形態ですが、総合設立厚生年金基金では強い指導力をもつ母体組織・健康保険組合の存在が必須であったほか、人数規模(3,000~5,000人以上)、業種(原則1業種1基金)、地域(原則同一都道府県内、後に近隣県ブロックでの設立も可能に)などの要件が細かく規定されていました。これに対し、総合型DB基金の設立にあたっては、基金型の人数要件(300人以上)以外の制約はありません。

制度の透明性・持続可能性を高めるための工夫も

総合設立厚生年金基金は、中堅・中小企業における企業年金の普及・拡大に大きな役割を果たしてきましたが、一方で、「給付設計がわかりにくい」、「自社の従業員に係る持分が不明確」、「積立不足に陥るとその穴埋めをさせられる」といった指摘もありました。そのため、厚生年金基金から移行設立された総合型DB基金では、上記の指摘を踏まえた制度設計が以下の通りなされているのが通例です。

    ①加入基盤の拡大: 業種・地域の拡大、同業種の基金との合併 など

    ②制度設計の「見える化」: コース別掛金の採用、ポイント制の採用 など

    ③積立不足の発生を抑制するしくみの構築: キャッシュバランスプランの採用 など

このように、総合型DB基金では、かつての「総合型」のイメージとは異なり、制度の透明性や持続可能性は格段に向上しています。前回のコラムで述べたことと共通しますが、総合型DB基金への加入検討に際しては、確定給付型か確定拠出型かといった外面的な点ではなく、当該基金の給付設計が自社の人事施策に沿うかどうかという視点が何より重要です。

【今回のまとめ】

総合型DB基金の給付設計は、いまやキャッシュバランスプランが主流である。かつての「年功的」、「画一的」、「どんぶり勘定」というイメージに捕らわれたままでは、事の本質を見誤る!

谷内 陽一(たにうち よういち)/りそな銀行 りそな年金研究所 統括主席研究員
厚生年金基金連合会(現:企業年金連合会)で約10年にわたり記録管理・数理・資産運用等の業務に従事。全労済協会などを経て、2010年りそな銀行入社。社会保険労務士、証券アナリスト(CMA®)、1級DCプランナー、DCアドバイザー。2015年より日本年金学会幹事。
年金時代