年金時代

三宅 明彦(みやけ あきひこ)/社会保険労務士

年金受給者が行方不明になった場合の死亡一時金・遺族年金・未支給年金について【前編】(三宅 明彦さん)

今月は、年金受給者が行方不明になり、死亡したとみなされた場合の死亡一時金・遺族年金・未支給年金がどのようになるのか、見ていきます。

1.行方不明高齢者の届出が義務化されています

平成26年4月から「所在不明高齢者に係る届出の義務化」が実施されています。近年、同居の親族等が、年金受給者が所在不明であることを把握しながらその年金を受け続けていたことが問題視されたための措置です。

平成18年までは毎年の誕生月に生存を確認するために「現況届」の提出義務がありましたが、平成18年以降は住基ネット(現在は個人番号)の活用により生存確認を行っていますので、現況確認の届出は原則不要になっています。また、平成26年3月までは、年金受給者の所在が不明であっても、同居の親族等に届出は義務づけられていませんでした。

そこで、年金受給者が所在不明となって1ヵ月以上経過した場合には、世帯員(住民票上の世帯が同一の方)は所在不明である旨の届出をしなければならないことになりました。そして、生存確認ができない場合は年金支給の一時差し止めが行われます。

この場合に、後日生存確認ができれば一時差し止めが解除され、差し止められた年金は支給されることになります。また、後日死亡が確認できた場合には、差し止められた年金は「未支給年金」として遺族に支給されることになります。

この「未支給年金」として支給される場合には、死亡の当時その者と生計を同じくしていた者に受ける権利があります。そこで、行方不明になり7年以上が経過した場合には、「普通失踪」による失踪宣告により死亡とみなされるために、生計を同じくしていた者とは認められず、遺族は未支給年金を受け取ることができない可能性がありますので、注意が必要です。

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三宅 明彦(みやけ あきひこ)/社会保険労務士
東京都社会保険労務士会所属。 金融機関等での豊富な年金相談経験をもつ。多数の年金セミナー・年金研修等の講師を務める。現在、東京都社会保険労務士会の年金講座講師。著書多数。『年金マニュアルシート』(社会保険研究所)は約50万部の大ヒット。マニュアルシート・シリーズの最新版『10年短縮年金マニュアルシート』も好評。
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