年金時代

香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使

第32回 テニスファン最良の日―大坂選手の全米オープン制覇―

本稿は外務省とも在アゼルバイジャン日本国大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見を筆者個人の責任で書いているものです。内容についてのご意見・照会等は全て編集部経由で筆者個人にお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いします。

河野外相がアゼルバイジャン含む南コーカサス3ヵ国を歴訪

みなさんこんにちは。
9月に入ってバクーは朝晩がめっきり涼しくなってきました。
昼間は相変わらず日差しが厳しく目が痛い位ですが、それでも木陰に入ると風が爽やかで、日が陰った後の夕方はもう秋の気配。いつまでも残暑で蒸し暑い日本の9月に比べるとかなり過ごしやすいですが、朝晩の涼しさ、夜と昼間の寒暖差でちょっと気を許すと風邪を引きそうです。

さて、この稿がアップされる頃にはもう旧聞に属しているかもしれませんが、9月上旬に河野外務大臣が当地を含む南コーカサス3カ国を歴訪されました。
アゼルバイジャンは19年ぶり、ジョージアとアルメニアは独立後初めての外相訪問です。
当地ではアリエフ大統領・マムマドフ首相・メメディヤロフ外相との会談が行われましたが、今回の訪問に当たって、河野外相は日本として南コーカサス地域の自立的発展を積極的に支援する意思表明として「コーカサス・イニシアティブ」を発表されました。

河野大臣とメメディヤロフ外相との会談の風景。通訳なし・英語での会談で約30分、この後共同記者会見、そしてワーキングランチ約1時間、大臣は全て通訳抜きでこなされました。河野大臣は大統領表敬でも直接英語で会話されました。要人同士が通訳抜きで英語で話をする・話ができる、というのは国際政治・外交の場では普通の光景、「世界標準」です。

アゼルバイジャンはもちろんのこと、3カ国とも今回の日本外相訪問には大きな期待を寄せていましたし、河野大臣が携えてきたこの「イニシアティブ」にも大きな関心が示されました。

イニシアティブの詳細は外務省のHPやアゼルバイジャンを含む南コーカサス3カ国日本大使館のHP、FBなどをご覧いただければと思いますが、各国の自立的発展を支える人材育成支援、インフラ整備やビジネス環境整備支援などを柱とし、経済・環境・文化など多面的な支援を内容とする包括的なイニシアティブです。

国を代表して外務大臣が相手国に提示したイニシアティブですから、今後はその具体的中身を明らかにし、行動に移していくことが求められます。

内政でも外交でも、政(まつりごと)というのは同じだと思いますが、こういった大きな方針を政府(政治)が示した後は、その大方針に沿った具体的な行動計画―アクションプラン―をきちんと立てて、数値目標など具体的目標を定めてロードマップを引き、目に見える形で結果を出す―成果を上げる―ということが必要です。さもないと、相手の信頼を失うことになりかねません。

本国政府(外務本省)のみならず、大使館としても、相手国政府の意向や任国の実情を踏まえながら日本のプレゼンスがきちんと示せるよう、相手国との間でwin-winの関係が築いていけるような、それこそ「持続可能な」関係作りのための具体的行動が求められると思っています。

まさに「有言実行」。大臣のイニシアティブを言いっ放しに終わらせるようなことがあっては絶対にいけません。
気合入れて仕事しないと(笑)。

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香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使
東京都出身。1980年東京大学法学部卒業後、厚生省入省。年金局年金課課長補佐、埼玉県生活福祉部老人福祉課長、厚生省大臣官房政策課企画官(高齢者介護対策本部事務局次長)、厚生労働省政策統括官(社会保障担当)・内閣官房内閣審議官(内閣官房副長官補付)併任、年金局長、雇用均等・児童家庭局長などを経て2016年6月辞職。2017年3月より現職。著書に『教養としての社会保障』(東洋経済新報社)
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