年金時代

稲田 耕平(いなだ こうへい)/特定社会保険労務士、稲田社労士事務所・東京管理協会代表

第2回 健康経営を応援する制度とメリット

健康経営に取り組む企業は増えつつありますが、こうした取り組みを応援する顕彰制度や認定制度があります。今回は、そうした制度の概要と健康経営のメリット、さらに、特に中小企業において健康経営の取り組みが必要な理由についてご紹介します。

健康経営に関する認定制度

①健康経営銘柄

日本再興戦略に位置づけられた「国民の健康寿命の延伸」に対する取り組みの一つとして、2015年から、経済産業省と東京証券取引所が共同で「健康経営銘柄」の選定をスタートさせ、2018年2月の発表会で第4回目を迎えました。本取り組みでは、東京証券取引所の上場会社の中から「健康経営」に優れた企業を選定し、長期的な視点からの企業価値の向上を重視する投資家にとって魅力ある企業として紹介をすることを通じ、企業による「健康経営」の取り組みを促進することをめざしています。

経営から現場まで各視点から健康への取り組みができているかを評価するため、「健康経営が経営理念・方針に位置づけられているか」「健康経営に取り組むための組織体制が構築されているか」「健康経営に取り組むための制度があり、施策が実行されているか」「健康経営の取り組みを評価し、改善に取り組んでいるか」「法令を遵守しているか」などの5つの側面からスコアリングを行い、さらに、各業種上位企業の中から財務面でのパフォーマンスがよい企業から評価を行っています。

「健康経営」は、特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

②健康経営優良法人認定制度

経済産業省では、2016年度(2017年2月発表)から、次世代ヘルスケア産業協議会健康投資ワーキンググループ(日本健康会議健康経営500社ワーキンググループおよび中小1万社健康宣言ワーキンググループも合同開催)において、健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」するために「健康経営優良法人認定制度」の設計を行い、地域の健康課題に即した取り組みや日本健康会議が進める健康増進の取り組みを基に、特に優良な健康経営を実践している大企業や中小企業等の法人を顕彰する制度です。

本認定制度は、健康経営に取り組む優良な法人を「見える化」することで、従業員や求職者、関係企業や金融機関などから「従業員の健康管理を経営的な視点で考え、戦略的に取り組んでいる法人」として社会的に評価を受けることができる環境を整備することを目標としています。

企業規模別に、中小規模の企業や医療法人を対象とした「中小規模法人部門」と、規模の大きい企業や医療法人を対象とした「大規模法人部門」の2つの部門に分け、運営する日本健康会議において、「健康経営優良法人2018」として、大規模法人部門に541法人、中小規模法人部門に776法人を認定しています。

③健康優良企業認定制度(金・銀の認定)

前述したとおり、日本健康会議では、健康経営に取り組む企業500社(宣言4)、健康宣言を行う企業1万社以上の実現(宣言5)等、健康増進に関する8つの目標を宣言し活動しており、この流れの中で全国健康保険協会の各支部や健康保険組合では、健康(企業)宣言をした企業をサポートするしくみもスタートしています。

なお、東京都内では独自の健康優良企業認定制度(金・銀の認定)もスタートし、2016年6月には、東京都、医療保険者、東京商工会議所、東京都社会保険労務士会、中小企業診断士協会等の関係13団体で「健康企業宣言東京推進協議会」を設立しています。

また、さまざまな団体等が健康経営を普及推進しているおかげで「健康企業宣言」を行った企業数は急速に伸びており、政府の「働き方改革」の発信も、健康経営の普及推進に追い風となっています。両施策とも共通項目が多いので、車の両輪として実践していくことが重要と言えます。

 ※宣言5は、2018年8月開催の「日本健康会議2018」で、目標の1万社以上を達成したため、新たに目標を3万社以上に上方修正しました。

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稲田 耕平(いなだ こうへい)/特定社会保険労務士、稲田社労士事務所・東京管理協会代表
健康経営アドバイザー制度の構築に関与し、「健康経営」を中小企業へ普及することをライフワークとしている。東京都社会保険労務士会 健康経営・働き方改革推進本部健康企業育成WG座長、東京商工会議所 健康経営アドバイザー制度支援WG社労士チームリーダーほか。
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