年金時代

長沼 明(ながぬま・あきら)/浦和大学客員教授・前埼玉県志木市長

マイナンバー制度の情報連携システム

情報連携の開始時期-平成31年度以降を予定-

厚生労働省年金局が平成30年8月15日付けで、発出した「番号制度の導入に伴う市町村における年金関係事務の概要について(平成30年8月改訂版)」によれば、これまで平成31年1月に予定されていた「機構から地方等への情報照会」のスケジュールが、「平成31年度以降」に変更されました。

文書中、 「※ 情報連携の開始時期については未定」との文言は変わりありませんでした。したがって、平成31年度中に実施する予定だが、時期までは明確に申し上げられない(昨年の平成30年8月の時点の状況)ということで、今後、予定どおりの内容を実施することには変わりない、と筆者は認識しています。

なお、平成31年1月18日(金)に開催された「全国厚生労働関係部局長会議」において、「年金局 説明資料」(40頁から44頁)および「政策統括官(統計・情報政策、政策評価担当)」(2頁から9頁)から、「年金関係の情報連携開始に向けた今後のスケジュール等について」の説明がありました。会場で筆者も直接聞きましたが、予定どおり、平成31年4月から順次、実施していくものと思われます。

合わせて、厚生労働省が予定している平成31年度以降の「情報連携」は、これまでの個人番号(マイナンバー)の利用におけるサービスとは異なり、一部の添付書類が省略できるなど、サービスの質が異なってくると判断し、筆者は、本格的な「情報連携」と記しています。

どんな添付書類が省略できるのか?

それでは、本格的な「情報連携」が開始されると、どのような添付書類が省略できるのでしょうか? 図表1】をご覧ください。

【図表1】年金請求書の添付書類の省略

(筆者注:厚生労働省大臣官房年金管理審議官が 平成30年12月28日付けで、日本年金機構理事長宛てに発出した通知「年管発1228第5号」において、20歳前障害基礎年金の受給権者は、障害基礎年金所得状況届を提出することを要しないものとされた。詳細については、同通知文を参照されたい。)

【図表1】の【年金請求書の添付書類の省略】をご覧いただければわかるように、市町村の保有していた個人情報である「住民票」の写し・「所得証明書」が、原則として省略できるようになるということがわかります。雇用保険の情報についても、「情報連携」によって取得するということで、省略できる添付書類に入っています。

【図表1】は少し見にくいので、【図表2】に概略を整理しました。

【図表2】本格的な「情報連携」開始後に、 添付書類を省略する取り扱いの主なもの

①振替加算の要件確認のための添付書類のうち、世帯全員の住民票および所得証明書

②加給年金額の加算対象となる配偶者・子の確認のための添付書類のうち、世帯全員の住民票および所得証明書

③(遺族年金請求など)請求者に係る所得状況の確認のための添付書類のうち、所得証明書

④未支給年金の請求における、生計同一要件確認のための添付書類のうち、世帯全員の住民票

 

「情報連携」が本格稼働しても、省略することのできない添付書類とは?

それでは、「情報連携」が本格稼働しても、添付を省略できない書類とはどんなものになるのでしょうか?

「番号制度の導入に伴う市町村における年金関係事務の概要について(平成30年8月改訂版)」などによれば、【図表3】のように整理されます。

【図表3】省略できない添付書類の主なもの

①夫婦や親子などの身分関係を明らかにするための戸籍謄本などについては、情報連携の対象外であるため、現行どおり添付書類を求める。

②障がい状態を確認するための診断書等については、情報連携の対象外であるため、現行どおり添付書類を求める。

③死亡原因等を確認するための死亡診断書の写し等については、情報連携の対象外であるため、現行どおり添付書類を求める。

つまり、「情報連携」が本格的に稼働するようになったとしても、情報提供ネットワークシステムを通じた外部機関との情報連携が対象外の情報については、当然のことながら、添付書類は省略できない、ということなります。

なお、振込先口座の通帳の写しも、添付を省略することはできません。

生活保護受給者の場合、届書は不要となるのか?

ところで、国民年金法第89条第1項第2号に規定する生活保護受給者の場合、法定免除ですが、国民年金法施行規則第75条に基づき「保険料免除に関する届出」を日本年金機構に提出することになっています。

「情報連携」が本格稼働するようになった以後は、この届出は提出しなくてよくなるのでしょうか。

実は、情報提供ネットワークシステムを通じ、得られるのは、あくまでも「生活保護期間の開始・終了」の情報であり、生活扶助を受けているのか、医療扶助を受けているのか、介護扶助を受けているのか、生活保護の扶助の種類までは情報の提供が得られない、とのことです(生活保護には、生活扶助・医療扶助・住宅扶助・介護扶助・教育扶助・生業扶助・出産扶助・葬祭扶助の8つの種類がある)。

したがって、「当分の間、現在の事務運用を継続することとし、生活扶助の受給による法定免除に関する届出について、市町村の確認・証明をお願いすることとする」(前出「番号制度の導入に伴う市町村における年金関係事務の概要について(平成30年8月改訂版)」8頁)と、されています。

ということで、引き続き、 「個人番号」(マイナンバー)と年金に関する新しい情報が得られましたら、正確性を期して、お伝えしていきます。

長沼 明(ながぬま・あきら)/浦和大学客員教授・前埼玉県志木市長
地方公務員を中心に共済組合等の年金に関する第一人者。埼玉県志木市長を2期8年務め、市長在任中に日本年金機構設立委員会委員、社会保障審議会日本年金機構評価部会委員、日本年金機構のシンボルマークの選考委員を歴任。著書に『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』(年金・福祉推進協議会)などがある。
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