年金時代

香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使

第41回 解題『ちょっと気になる政策思想』(上)全ての経済学には「思想」がある 

知的刺激を与えてくれる本に出会った

さて、本題です。
久しぶりに、わくわくするような知的刺激を与えてくれる本に出会いました。
『ちょっと気になる政策思想―社会保障に関する経済学の系譜』(権丈善一著 勁草書房)です。
年金に関心のある読者諸兄であれば、権丈教授をご存じの方は多いことと思います。
昨今、世の中閉塞感に満ちあふれているせいか、内向きでペシミスティックなことばかり言う人、あたり構わず世の中の森羅万象に罵詈雑言を浴びせかける人、さもなくば「世の中がうまくいかないのはこいつのせいだ」と魔女狩りに精を出す人、わざと極論を吐いて耳目をひこうとする人、甘言を弄して世を謀る人、何にしても非生産的で反知性的な言説ばかりが出回っている中で、こういう知的で示唆に富む本に出会えたというのは大げさに言って奇跡に近い位嬉しいことです。

実は別の某経済誌に「書評」を書かせていただきましたが、例によって字数制限なんかもあって十分書き切れなかったので、「解題」と題して、3回に分けて、「社会保障と経済学」に引きつけて書いてみたいと思います。
できるだけわかりやすく書きたいと思いますので、お付き合い下さい。

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香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使
東京都出身。1980年東京大学法学部卒業後、厚生省入省。在フランスOECD事務局研究員、年金局年金課年金制度調整専門官、埼玉県生活福祉部老人福祉課長、厚生省大臣官房政策課企画官(高齢者介護対策本部事務局次長)、厚生労働省政策統括官(社会保障担当)・内閣官房内閣審議官(社会保障・税一体改革担当)併任、年金局長、雇用均等・児童家庭局長などを経て2016年6月辞職。2017年3月より現職。著書に『教養としての社会保障』(東洋経済新報社)
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