年金時代

稲田 耕平(いなだ こうへい)/特定社会保険労務士、稲田社労士事務所・東京管理協会代表

第6回 ヘルスリテラシーを高める

さて、第6回も前回に引き続き、健康経営の取り組みにおけるキーワードとなる用語について解説していきます。今回は「ヘルスリテラシー」を取り上げます。

*「健康経営」は、特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。

経営者や従業員の健康知識・意識を高める

経済産業省が推進している、健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定基準の小項目には、「ヘルスリテラシーの向上」という項目があります。ここでは、「管理職又は従業員に対する教育機会の設定」の取り組み状況を評価します。設置趣旨は、「管理職や従業員に対し、健康管理の必要性を認識し、必要な健康保持・増進に係る知識 (ヘルスリテラシー)の向上のための機会を設定しているかを問うものである」となっています。

あまりお耳にすることが少ないかと存じますが、健康経営の実践に向けた基礎的な土台づくりとして、ヘルスリテラシーの向上は必要不可欠なものであり、前回ご紹介したワーク・エンゲイジメントと同様に健康経営を進めていくうえで重要なキーワードとなります。

また、企業において従業員の健康づくりを推進していくには、まずは経営者自らが「健康」を意識し詳しくなる必要もあります。そのために健康経営優良法人(中小規模法人部門)の認定基準の項目に、「経営者自身の健診受診」があります。経営課題としての認識は、経営者本人の自覚として健康管理の行動に表れるものであり、また、経営者本人が率先して従業員の行動規範となり従業員を牽引していかなければいけません。

健康とは? リテラシーとは?

それでは、健康経営の取り組みを進めていくうえでのキーワードとなる「ヘルスリテラシー」とは何かを解説していきます。

WHO憲章では、その前文で「健康」について、「健康とは、病気でないとか、弱っていないということではなく、肉体的にも、精神的にも、そして社会的にも、すべてが満たされた状態にあること」(日本WHO協会訳)と定義しています。したがって、人は「身体的健康・精神的健康・社会的健康」の3つがそろって健康と言われることになります。なお、健康経営は、企業の健康についても同時に意識することが必須であることも認識してください。

そもそもリテラシーという言葉は、「読み書き能力。また、ある分野に関する知識やそれを活用する能力。応用力」を指していて、一般的には情報リテラシーとか、コンピュータリテラシーなど、「〇〇リテラシー」と使用します。ヘルスリテラシーとは、「健康情報についての情報リテラシー」を指し、健康情報を入手し、理解し、評価し、活用するための知識、意欲、能力であり、すなわち健康を自分の意思で決定する力を言います。

次ページ:ヘルスリテラシーが低いと「健康に悪影響」!?

ここから先はログインしてご覧ください。

稲田 耕平(いなだ こうへい)/特定社会保険労務士、稲田社労士事務所・東京管理協会代表
健康経営アドバイザー制度の構築に関与し、「健康経営」を中小企業へ普及することをライフワークとしている。東京都社会保険労務士会 健康経営・働き方改革推進本部健康企業育成WG座長、東京商工会議所 健康経営アドバイザー制度支援WG社労士チームリーダーほか。
年金時代