年金時代

香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使

第62回 世界の民主主義は後退しているのか⑴

本稿は外務省とも在アゼルバイジャン日本国大使館とも一切関係がありません。全て筆者個人の意見を筆者個人の責任で書いているものです。内容についてのご意見・照会等は全て編集部経由で筆者個人にお寄せ下さい。どうぞよろしくお願いします。

みなさんこんにちは。
今年の最初の掲載、「新年雑感」の冒頭で、2019年は「私の言葉でいえば「民主主義の強さ」が問われる事件が数多く起こりました」と書きました。

日本は「自由と民主主義という価値観を共有する西側諸国の一員」とみんな思っています(もちろん私もそう思っています)。安倍総理もたびたび公の場でそのように発言しています。

他方で、この連載で何回も紹介しているように、国家の統治のあり方として、「議会や選挙に煩わされる必要のない強い指導者による統治の方が望ましい」と考える人が世界中で増えていて、その傾向は旧東側諸国や新興国でより顕著で、新興国のみならず、北米や西欧のような成熟した民主主義国でもその傾向が見られるようになっています。

果たして世界は、民主主義から遠ざかっていっているのでしょうか。

2020年1月、イギリスの経済誌「エコノミスト」の傘下にある「インテリジェンスユニット」という機関(以下「ユニット」とします)が、「民主主義指数2019」(Democracy Index 2019、以下「民主主義インデックス」または単に「インデックス」とします)というレポートを公表しました。

https://www.eiu.com/public/topical_report.aspx?campaignid=democracyindex2019
(registerが必要ですがregisterすれば無料でレポート全体をダウンロードできます)

ユニットは2006年からこのインデックスを公表していて今回は12回目になりますが、インデックスは世界の167カ国をカバーしていて、本編だけでも70ページを超えるという大部のレポートです(ホント読むの大変でした。週末が2回潰れました(笑))。

ここでその全部を紹介することはできませんが、世界の民主主義の状況を網羅的かつ包括的に分析、評価していて、私たちの世界が今どんな状態にあるのかを知るのにはとても参考になります。

そこで、何回かに分けてこの報告の主なポイントを紹介しつつ、世界の民主主義は今どんな状況にあるのか、そしてその中で日本の民主主義がどう評価されているのかについて見てきたいと思います。

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香取 照幸(かとり てるゆき)/駐アゼルバイジャン日本国特命全権大使
東京都出身。1980年東京大学法学部卒業後、厚生省入省。在フランスOECD事務局研究員、年金局年金課年金制度調整専門官、埼玉県生活福祉部老人福祉課長、厚生省大臣官房政策課企画官(高齢者介護対策本部事務局次長)、厚生労働省政策統括官(社会保障担当)・内閣官房内閣審議官(社会保障・税一体改革担当)併任、年金局長、雇用均等・児童家庭局長などを経て2016年6月辞職。2017年3月より現職。著書に『教養としての社会保障』(東洋経済新報社)
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