年金時代

安中 繁(あんなか しげる)ドリームサポート社会保険労務士法人 代表社員/特定社会保険労務士

同一労働同一賃金の本質と誤解

労働分野の旬なテーマを取り上げて、実務の参考となる情報を提供する新企画がスタート。最初のテーマは、令和2年4月に施行される同一労働同一賃金の法改正です。手掛けるのは、労働分野の最前線で実務を担う専門家集団――ドリームサポート社会保険労務士法人の執筆陣。初回は同法人の代表社員・安中繁さんです。

同一労働同一賃金は経済政策

働き方改革関連法の施行により、残業の上限規制が始まった。年次有給休暇はすべての規模の企業で5日付与が義務化されている。この対応に奔走している企業が多いだろうが、働き方改革関連法の最大のテーマは【同一労働同一賃金】法改正だ。

2020年(中小企業は2021年)に何が変わるのか。第1に、正社員とそれ以外の社員の間の待遇差を社員に説明しなければならなくなる。どんな差があるかと、その差の理由まで。

第2は待遇差があるのは良いのだが、不合理に差があることは認められない。例えばボーナス。正社員にしか支給しないとしている会社は要注意だ。パート、アルバイト、契約社員等から請求された時、正社員のみに支給することについて説明がつかないと負ける。

第3は行政介入。本来労働条件の決定は当事者に委ねられるべきものだが、不合理な待遇差に関して行政指導の対象となる。以上の3項目について、パートタイマー、有期契約社員、派遣労働者にまつわる、世にいう非正規3法の改正がなされる。

政府は「非正規という言葉をなくす覚悟で挑む」としている。数年後には「非正規はもう安くない」という声が巷にあふれる日がくるだろう。とりわけ派遣労働者にかかるコストは明確に高騰する。全雇用者の約4割が非正規となった今、彼らの賃金水準を引き上げ、購買力を上げ、日本経済を良くしていくのが政府の一番の狙いだ。働き方改革は社会問題の解決と見られているが、否、経済政策にほかならない。

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安中 繁(あんなか しげる)ドリームサポート社会保険労務士法人 代表社員/特定社会保険労務士
2007年安中社会保険労務士事務所開設。2015年法人化し代表社員に就任。約300社の顧問先企業のため労使紛争の未然防止、人事制度構築支援等にあたる。新しいワークスタイル「週4正社員制度」の導入コンサルティングを得意とする。地方自治体、各種経営者団体での講演実績多数。主な著書に『週4正社員のススメ』(経営書院) 『中小企業は『懲戒処分』を使いこなしなさい』(労働新聞社)他。
ドリームサポート社会保険労務士法人
東京都千代田区と国分寺市の2拠点で事業展開をしており、上場企業を含む約300社の企業の労務管理顧問をしている実務家集団。
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