年金時代

太田 祐子(おおた ゆうこ)ドリームサポート社会保険労務士法人

同一労働同一賃金の法改正への具体的な対応策~派遣労働者~

労働分野の旬なテーマを取り上げて、実務の参考となる情報を提供する連載企画。3回目はこの4月から企業規模に関わらず施行された派遣労働者の同一労働同一賃金がテーマです。筆者は、労働分野の最前線で実務を担う専門家集団――ドリームサポート社会保険労務士法人の太田祐子さんが担当します。

前回は同一労働同一賃金の法改正のうち、パートタイマー・有期雇用労働者を対象にしたものを見てきました。

第2回 同一労働同一賃金の法改正~パートタイマー・有期雇用労働者~(4月23日掲載)

今回はもう一方の派遣労働者を対象とした法改正への対応を見ていきたいと思います。まず、今回の改正の基本的な考え方として、「平成30年労働者派遣法改正の概要<同一労働同一賃金>」では、

“我が国が目指す「派遣労働者の同一労働同一賃金」は、派遣先に雇用される通常の労働者(無期雇用フルタイム労働者)と派遣労働者との間の不合理な待遇差を解消すること等を目指すもの”

と述べています。同様の労働をしているにも関わらず、派遣先企業の労働者と派遣労働者との間に待遇差があることは望ましくありません。また、一般的に大企業のほうが賃金水準は高い傾向にありますが、派遣先企業が大企業であるか中小企業であるかによって、派遣先企業の労働者と待遇を合わせた結果として同じ業務であっても派遣先によって派遣労働者の待遇差が生まれてしまう。このような状況も、派遣労働者個人の観点から望ましいものではありません。

これらの状況をふまえて、派遣元事業主は以下2つのいずれかの方式により派遣労働者の待遇を確保することが義務化されたことが今回の改正です。

  • 派遣先均等・均衡法式:派遣先の通常労働者との均等・均衡待遇
  • 労使協定方式:一定の要件を満たす労使協定による待遇

なお、これらの待遇を確保するために派遣元だけでなく派遣先も協力するよう配慮しなければなりません。派遣先は派遣労働者が従事する業務ごとに、比較対象労働者の賃金その他待遇に関する情報を派遣会社に提供することを求められており、この情報提供義務を履行しないとき、派遣元は派遣先と労働者派遣契約を締結してはなりません。

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太田 祐子(おおた ゆうこ)ドリームサポート社会保険労務士法人
外資系コンピューター関連サービス企業にて約10年間、多種多様な企業へのITインフラ環境の設計・導入に従事。2016年ドリームサポート社会保険労務士法人入社。労務相談労働保険・社会保険手続き・給与計算を担当。現在は、2つの係を擁する課長として社労士法人の中核部門を率いてメンバーのマネジメントにあたるほか、自身も一部上場企業を中心にIT・建設・運送業等、幅広い顧客を担当し、人事労務管理の助言、人事制度コンサルティングを手掛ける。法人としての顧客に寄り添うだけでなく、総務・人事部門の立場を尊重した実務的なアドバイスに定評がある。
ドリームサポート社会保険労務士法人
東京都国分寺市を拠点に事業を展開し、上場企業を含む約300社の企業の労務管理顧問をしている実務家集団。
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