2020/11/24掲載
第9回 専門家との連携②~産業医との連携~
健康経営を進めていく社会保険労務士と他の専門職との連携についての2回目は、産業医との連携がテーマです。ご解説いただくのは、産業医で、健康経営エキスパートアドバイザーでもある今井鉄平さんです。今井さんには、今回も文末に「コロナ禍における健康経営」をご執筆いただいています。産業医の視点から実践する健康経営のポイントが満載です。
*「健康経営Ⓡ」は、特定非営利活動法人健康経営研究会の登録商標です。 |
産業医から見た健康経営
産業医とは、ひと言で言うと職域における健康管理のプロフェッショナルです。医師であれば誰でもよいという訳ではなく、日本医師会や産業医科大学が行う研修を修了している、あるいは労働衛生コンサルタント試験(保健衛生)に合格している等、一定の要件を満たす必要があります。
従業員数50人以上の事業場においては産業医の選任義務があり(労働安全衛生規則第13条)、職場巡視・健康診断の事後措置・長時間残業者への面談・高ストレス者への面談・衛生委員会への参加などを行わせていくことが、事業者には求められます(労働安全衛生規則第14条)。また、従業員数50人未満の小規模事業場においては産業医の選任義務はありませんが、健康診断の事後措置(就労判定)・長時間残業者への面談は、人数規模を問わずに実施が求められることになります。
健康経営においては、例えば健康経営優良法人認定要件(図表1参照)に挙げられている項目の大半に産業医業務が関わっているなど、産業医の関わりは非常に強いものがあると言えます。
例えば、定期健診後の受診勧奨、管理職に対するラインケア研修、治療と仕事の両立への助言、生活習慣病予防対策への助言、長時間労働者への面談対応、メンタル不調者への対応など、実務面での関与や会社への取り組みへの具体的な助言などが期待できます。特に、治療と仕事の両立支援に関しては、会社の状況や仕事内容も把握したうえで、主治医とは異なる中立の立場からの助言を行うことができます。