年金時代

長沼 明(ながぬま・あきら)/浦和大学客員教授・前埼玉県志木市長

令和3年度の年金額は、なぜ、0.1%下がったのか?

~老齢基礎年金の満額は、780,900円に!~

令和3年度の年金額が、1月22日(金)に、厚生労働省より正式に公表されました。

老齢基礎年金の満額は、年額780,900円(月額65,075円)となります(【図表1】参照)。

 

昨年は、厚生労働省の正式な公表を待たず、令和2年度の老齢基礎年金の満額は781,700円になる、と大胆にも試算を執筆しました(2020117日掲載『令和2年度の年金額は、どうなるのか? ~財務省資料から、新年度年金額の決定メカニズムを直前学習!~』)。

しかしながら、今年は、令和3年度の年金額の試算を執筆することを見送りました。コロナ禍の中で、「物価」の動向を読み切れなかったからです。「物価」の数字を把握できないと、なぜ、令和3年度の年金額を試算することに、躊躇を感じたのか。

年金専門誌はいずれも、財務省のデータ(【図表2】参照)を踏まえ、「令和3年度年金額改定は据え置きへ――令和3年度予算案」という記事を発信しました。

 

これ自体は、全く間違いはありませんし、この時期に、年金専門誌が令和3年度の年金額を読者に伝えるのは当然の責務でしょう。

では、なぜ、政府予算案どおりの年金額、すなわち据え置きにならず、0.1%のマイナスになったのか?(【図表1】の「年金額の改定率」の欄・『注5)0.999』の項、参照。「年金額の改定率」が『0.999』ということは、年金額が0.1%のマイナスになる、ということを意味します)。

そんなことを考えながら、あらためて令和3年度の年金額の決定のしくみについて述べていきます。

また、法律から読み解くという視点は、いずれ、年友企画の代表取締役・大山均氏が執筆されるものと思いますので、本稿は、【図表】のイメージ図や数字を眺めながら、「あっ、そういうことだったのか!」と、なんとなく理解したと思えるレベルで記述していきますので、もし読みにくい箇所があれば、そこは飛ばして、先に読みすすんでいってください。

ひとつひとつ正確に理解して先に進むのは、容易ではありませんから・・・。

  • 1
  • 2

ここから先はログインしてご覧ください。

長沼 明(ながぬま・あきら)/浦和大学客員教授・前埼玉県志木市長
地方公務員を中心に共済組合等の年金に関する第一人者。埼玉県志木市長を2期8年務め、市長在任中に日本年金機構設立委員会委員、社会保障審議会日本年金機構評価部会委員、日本年金機構のシンボルマークの選考委員を歴任。著書に『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』(年金・福祉推進協議会)などがある。
年金時代