年金時代

田所 知佐(たどころ ちさ)ドリームサポート社会保険労務士法人/社会保険労務士

法定雇用率引き上げによって新たに障害者雇用義務が発生する企業の皆様、専門家の力をうまく活用しましょう

労働分野の旬なテーマを取り上げて、実務の参考となる情報を提供する連載企画。第14回は、令和3年3月1日に法定雇用率が0.1ポイント引き上げられた障害者雇用をテーマに取り上げます。解説するのはドリームサポート社会保険労務士法人の田所知佐さんです。

障害者の法定雇用率引き上げ

障害者雇用促進法は、事業主に対し、障害者に対する差別の禁止や、合理的配慮の提供、障害者の雇用義務等を課しています。

障害者の雇用義務とは具体的には、「国・地方公共団体、特殊法人等を含むすべての事業主が、法定雇用率以上の割合で障害者を雇用しなければならないこと」です。

例えば、法定雇用率が2.3%、労働者数100人の会社は、2人の障害者の雇用が義務となります。

100人×2.3%=2.3人 →2人

※小数点以下切り捨て

令和3年3月1日、障害者雇用促進法が改正され、民間企業の障害者法定雇用率がこれまでの2.2%から2.3%に引き上げられました。これにより、雇用労働者数43.5人以上の事業主が新たに雇用義務の対象となりました(43.5が2.3%を乗じて1以上になる最小数)。

対象事業主は、毎年6月1日時点の障害者雇用状況をハローワークに報告しなければなりません。この報告をしなかったり、虚偽の報告をしたりした場合には、罰則の対象となります。

また、実際の雇用率が著しく低い企業に対しては、雇入れ計画の作成命令がなされることがあり、その後も計画の実施状況が悪かったり、特別指導等にも関わらず雇用が進まない場合には、企業名の公表に至る場合もあります。

さらに、雇用労働者数が100人を超える一般事業主が法定雇用数を達成できない場合には、不足人数×50,000円の障害者雇用納付金の徴収も行われます。

次ページ:障害者の雇用はすべての企業と関係する

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田所 知佐(たどころ ちさ)ドリームサポート社会保険労務士法人/社会保険労務士
東証一部上場 公共インフラ企業にて10年間施設企画に従事。その後、仏高級レストランの日本法人にて商品企画に従事。2015年ドリームサポート社会保険労務士法人入社。2018年社会保険労務士登録。前職の経験を活かし、企画・広報・執筆活動など多方面で活躍。近著『図解 社会保障オールガイド 最新版』(そらふブックス)監修。
ドリームサポート社会保険労務士法人
東京都国分寺市を拠点に事業を展開し、上場企業を含む約300社の企業の労務管理顧問をしている実務家集団。
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