年金時代

長沼 明(ながぬま・あきら)/浦和大学客員教授・前埼玉県志木市長

「支援給付金」と所得税法の改正!

前年と同じ年金収入・給与収入なのに、「支援給付金」がもらえない?

年金生活者支援給付金。

「老齢給付金」「障がい給付金」「遺族給付金」と略すべきなのか? あるいは、「支援給付金」と略すべきなのか?

なかなか難しい問題です。

市町村向けに発出したと思われる、令和3年(2021年)3月19日付の厚生労働省年金局事業管理課長名による【事務連絡】『年金生活者支援給付金事務取扱等に関するQ&Aの改訂について』では、略語一覧をみると、当初より、「老齢給付金」「障がい給付金」「遺族給付金」と記されています。

しかしながら、相談窓口の現場では、「老齢給付金」では、老齢基礎年金のことと混同されやすい、ということから、また、窓口では、会話でコミュニケーションを図っているので、耳で聞いた語感からくる誤認識を避けるという意図からも、「支援給付金」という言葉のほうが定着している、とも聞きます。

また、日本年金機構の指示文書では、年金生活者支援給付金のことを「支援給付金」と略しているとも聞きますが、ここでは(本稿では)、とくに断らないかぎり、「老齢給付金」のことを、「支援給付金」と記していきます。多少、表記が混在することがありますが、ご容赦ください。

所得税法の改正は、「支援給付金」に影響するのか?

さて、所得税法の改正が施行され、令和2年分から、給与収入が65万円の年金受給者の給与所得は10万円になりました。給与所得控除額が65万円から55万円に10万円引き下げられたからです。

そうすると、仮に、令和2年中に給与収入が65万円あり、老齢基礎年金を満額相当額(令和2年分であれば、781,200円。これが令和3年度の「支援給付金」の所得基準額となっている。【図表1】参照)、受給している68歳の高齢者は、給与所得が10万円加算されてしまうと、881,200円となってしまいます。

となると、令和3年度の補足的基準額881,200円と同じ金額になってしまい、「補足的支援給付金」(「補足的老齢給付金」のこと)も、令和3年度からは、すなわち、令和3年度の支給サイクル(「支給対象期間」)は、令和3年10月から令和4年9月までの期間ということになりますが、1円も「支援給付金」が受給できないことになりそうですが、本当にそうなるのでしょうか?(【図表1】参照)

 

今回は、パブリックコメントの意見やそれに対する回答、そして、冒頭の市町村職員向けの『年金生活者支援給付金事務取扱等に関するQ&Aの改訂について』であらたに示されたQ&Aも紹介しながら、述べていきたいと思います。

答えは、次の画面に進んでいただくと、すぐ出てきます。

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長沼 明(ながぬま・あきら)/浦和大学客員教授・前埼玉県志木市長
地方公務員を中心に共済組合等の年金に関する第一人者。埼玉県志木市長を2期8年務め、市長在任中に日本年金機構設立委員会委員、社会保障審議会日本年金機構評価部会委員、日本年金機構のシンボルマークの選考委員を歴任。著書に『年金一元化で厚生年金と共済年金はどうなる?』(年金・福祉推進協議会)などがある。
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