年金時代

石渡 登志喜(いしわた・としき)/社会保険労務士・年金アドバイザー

高収入でも遺族年金が受給可能な場合

遺族年金を受給するための生計維持要件には、「生計同一要件」と「収入要件」があります。収入要件は“年収850万円未満”とされますが、収入がこの金額を超えていても要件を満たす場合があります。今回は、事例に沿って収入要件を詳しく見ていきます。

事例概要

相談者 Aさん 昭和32年5月10日生まれ(64歳・男性・会社員)

平成30年6月(61歳) 妻B子さんが死亡(遺族年金は未請求)

令和2年5月(63歳) 特別支給の老齢厚生年金の受給権発生(未請求)

令和3年5月(64歳) 年金事務所に来所

令和4年5月(65歳) 定年退職予定

在職中で遺族年金も老齢年金も未請求

現在、厚生年金保険の被保険者であるAさんは、「来年、65歳で定年退職となるので、65歳から受給できる老齢基礎・老齢厚生年金額を知りたい」と言って、5月20日に年金事務所に来所されました。

Aさんは、63歳時点で特別支給の老齢年金の受給権が発生しているのですが、厚生年金被保険者として在職中は請求できないと思って未請求の状態となっていました。

見込額を提示するために加入記録を確認していると、Aさんとの会話の中で、3年前の平成30年6月10日に妻B子さん(当時56歳)をガンで亡くしていることがわかりました。当時のAさんの収入が年間約930万円で18歳未満の子もいなかったので、遺族年金は請求できないと思い込み、請求していませんでした。

B子さんの記録を見ると、平成26年4月から死亡時点まで厚生年金被保険者で、若いときの厚生年金被保険者期間が約60月、第3号被保険者期間等を合計すると保険料納付期間が25年以上ありました。

ここまでで、このケースは厚年法第58条第1項第1号(被保険者が死亡したとき:短期要件)及び同条同項第4号(老齢厚生年金の保険料納付済期間と保険料免除期間とを合算した期間が25年以上である者が死亡したとき:長期要件)の両方に該当しそうだ、ということがわかってきました。

 

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石渡 登志喜(いしわた・としき)/社会保険労務士・年金アドバイザー
電子計測器メーカーで資材部長・営業部長・厚生年金基金常務理事を経験。定年退職後、社会保険労務士事務所開業。千葉県内の年金事務所の年金相談員経験者。豊富な相談事例をもち、雑誌、書籍等多数執筆。
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