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年金時代編集部

事例でみる障害年金請求の勘所|#3 20歳前に初診日がある障害基礎年金の請求

国民年金に加入中の初診日による障害の場合は、障害基礎年金を請求できますが、国民年金に加入義務のない20歳前に初診日がある場合も、障害基礎年金を請求できます。これを、20歳前の傷病による障害と言います。この20歳前の傷病による障害基礎年金は、通常の障害基礎年金とは扱いが少し異なります。
なお、60歳以降も国民年金の加入義務はありませんが、60歳から65歳になるまでの間の年金に加入していない時に初診日のある障害は、納付要件と初診日において国内居住という条件を満たせば、通常の障害基礎年金の取扱いになります。
今回は、知的障害の事例をもとに、20歳前の傷病による障害基礎年金について検証していきたいと思います。

 

目次

事例●20歳前傷病の知的障害により障害基礎年金を請求
⑴知的障害の初診日は出生日
⑵20歳前の傷病による障害基礎年金の特徴について
⑶20歳前傷病の初診日の取扱いについて
⑷病歴就労状況等申立書の記載方法について
今回の相談者に案内する回答例
まとめ――今回の相談事例の勘所は3つ

事例●20歳前傷病の知的障害により障害基礎年金を請求

この事例の相談者は、「会社を休んで精神科を受診」とありますので、厚生年金加入期間中に初診日があるように思えます。また、受診したのは1年前のため、ここが初診日であると、障害認定日がまだ到来していないことも分かります。従って、あと半年経過したら障害厚生年金を請求できるようになると説明をしたいところですが、ここで注目すべきは、傷病名と所持している手帳です。

⑴知的障害の初診日は出生日

相談者が申し出ている傷病名はうつ病ですので、精神障害者保健福祉手帳を所持していることは理解できますが、愛の手帳(東京都)は、いわゆる療育手帳です。
この療育手帳とは、知的障害児・者へ各種の援助措置を受けやすくするため、知的障害と判定された者に対して、都道府県知事また指定都市市長が交付するものですから、相談者はうつ病の他に、知的障害という診断も受けていることになります。

障害年金請求の上で、知的障害は特段の理由がない限り先天性と考えられており、初診日は出生日となります。そして、うつ病と知的障害は因果関係有りとされていますから、この相談者の場合、うつ病の初診日は1年前ですが、うつ病の前に知的障害があるとされて、初診日は出生日となり、障害厚生年金ではなく、障害基礎年金の請求ということになります。

では、請求者は以前から知的障害と診断されていたにも関わらず、それを隠してうつ病と申告したのでしょうか。

そうではありません。幼少期から知的障害の症状が顕著であるため、その時点で療育手帳の交付を受けることが多いでしょうが、中には成人してから療育手帳の交付を受ける方もいます。今回の相談者の方のように、うつ病等の精神障害の治療のために精神科を受診し、そこで知的障害が判明し、精神障害者保健福祉手帳と療育手帳の交付を受ける方も、少なくありません。しかし、こうして後に判明した知的障害であっても、初診日は出生日になります。知的障害とその他の精神障害は併存することがありますので、どのような手帳を所持しているかは、詳しく聞く必要があります。

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