年金時代

勝島 一(かつしま はじめ)/コア・コム研究所㈱主席フェロー

第5回 労働者協同組合における人事評価について

 

前回は労働者協同組合における賃金の配分方法について考えてみましたが、今回は人事評価について取り上げたいと思います。

具体的な評価項目は、それぞれの組合ごとに定義されることと思いますので、ここでは、個別の評価項目を基にして総合評価する場合のアイディアについて考えてみたいと思います。

この総合評価が目指すものとして、次の3つを考えることとします。
・組合員の納得感が高い
・組合員の成長に繋がる
・組合員の個性や特性を評価する

これらは、労働者協同組合に限定されるものではないと思いますが、労働者協同組合の基本原理や目的に照らせば、より適合するものではないかと考えています。

(参考)
労働者協同組合法第1条からの抜粋(下線は筆者が追加)
「この法律は、(略)組合員が出資し、それぞれの意見を反映して組合の事業が行われ、及び組合員自らが事業に従事することを基本原理とする組織に関し、設立、管理その他必要な事項を定めること等により、多様な就労の機会を創出することを促進するとともに、当該組織を通じて地域における多様な需要に応じた事業が行われることを促進し、(略)目的とする。」

個別の評価項目が2つの場合

ここからは具体的な数字を見ながら考えてみたいと思います。話を簡単にするために、個別の評価項目は2つとし、仮に「売上金額」と「顧客満足度」とします。
労働者協同組合法第3条第3項には、「組合は、営利を目的としてその事業を行ってはならない。」と規定していますが、営利を目的としないにしても、資本主義経済のなかにあって、持続可能な組織として事業を継続していく観点から、ここでは「売上金額」を組合員の評価項目に入れることとしました。

評価対象の組合員は8人(Aさん、Bさん、……、Hさん)とし、この8人は全員同じ事業に従事しているものとします。

個別の評価項目の評価結果は、以下の表とグラフ(散布図)の通りとします。

この2つの評価項目は、まずは個別に利用されるものと思います。例えば、売上金額については賞与の査定に利用し、顧客満足度は昇格の判断材料とするなどです。ここではこれらを個別に利用するだけではなく、上手く組み合わせて総合評価に利用する仕組みを考えてみたいと思います。

次ページ:どのような場合に総合評価を高くするのか

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勝島 一(かつしま はじめ)/コア・コム研究所㈱主席フェロー
年金数理人。日本アクチュアリー会正会員。 1990年東京大学卒業。信託銀行にて、厚生年金基金や確定給付企業年金などの企業年金に関する数理計算業務、年金数理人業務、数理システム開発業務に従事。その後、有限責任監査法人トーマツ(デロイト・トーマツ)にて、大手、中堅、中小企業に対する確定給付企業年金及び確定拠出年金の導入・変更の制度設計コンサルティング、退職給付会計に関する債務及び費用の計算・助言、IFRS導入支援、M&Aにおける年金デューデリジェンスを手がける。退職金・年金に関するセミナーも多数実施。2020年7月より現職。著書に『リストラするくらいなら給与を下げて退職金を増やしなさい』(共著、中央経済社、2021年)がある。
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