年金時代

鯉沼 美帆(こいぬま みほ)/ドリームサポート社会保険労務士法人

雇用保険マルチジョブホルダー制度                ~兼業・副業社会へのスモールステップ!~

労働分野の実務の参考となる情報を提供する「プロが伝える労働分野の最前線」第26回のテーマは、令和4年1月から施行された雇用保険マルチジョブホルダー制度です。複数の事業所に雇用されて働く65歳以上の方を対象とする同制度のポイントや、会社がやるべきことなどについて、ドリームサポート社会保険労務士法人の鯉沼美帆さんが解説します。

雇用保険マルチジョブホルダー制度新設の背景

令和4年1月1日から、「雇用保険マルチジョブホルダー制度」が始まったことをご存じでしょうか。

兼業・副業で働く人が、複数の会社にまたがって雇用保険に入ることができる制度です。

次の図1では、2か所以上で雇用者として働くことを希望する人、実際にそのように働いている人がともに増えていることが読み取れます。

図1

これは5年に一度行われる就業構造基本調査の2017年版データですので、2022年に実施される調査では、これよりも増えていることが予測されます。誰もが柔軟な働き方を実現できるように環境整備を行う一環として、兼業・副業を推奨・促進する動きが見られます。

そんな中で課題点の一つとされていたのが、雇用保険の適用要件についてです。

雇用保険は、週20時間以上労働し、31日以上の雇用見込みがある人が加入するものです。しかし、複数の企業で働いている人の場合、例えば、一方の会社では週10時間、もう一方の会社では週15時間など、通算で20時間以上働いていても雇用保険には加入できません。

政府は、複数の職場で働く人に対するセーフティーネットを拡大する足掛かりとして、この雇用保険の問題について2016年頃から審議を重ねてきました。そして2020年3月、複数の企業で働く人の労働時間を通算して考え、本人が希望すれば雇用保険に加入できる「雇用保険マルチジョブホルダー制度」の試行的な導入を盛り込んだ「雇用保険法等の一部を改正する法律」が成立しました。

マルチジョブホルダー制度の内容について、詳しく見ていきましょう。

次ページ:どんな人が対象?

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鯉沼 美帆(こいぬま みほ)/ドリームサポート社会保険労務士法人
社会学部にて「労働と幸福が結びつく社会のありかた」を学び、企業の労働環境整備をサポートすることで、個人の生活(=ライフ=命)を大切にする社会を実現できる社労士を目指し、2021年4月新卒でドリームサポート社会保険労務士法人に入社。 現在は国分寺支店エデュ・コン係にて複数の顧問先企業の給与計算・社会保険手続を担当。手続業務を起点とし、働く人のステップアップをハード・ソフトの両面から支えるために日々邁進している。
ドリームサポート社会保険労務士法人
東京都国分寺市を拠点に事業を展開し、上場企業を含む約300社の企業の労務管理顧問をしている実務家集団。
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