年金時代

インタビュー:木下賢志・年金局長

――社会保障改革プログラム法に挙げられている課題にはどう対応されますか。

まず、マクロ経済スライドのあり方については引き続き議論が必要です。平成26年財政検証によれば、経済が好転しない場合、年金給付水準の調整期間が長引き、将来の所得代替率の低下にもつながります。マクロ経済スライドのあり方は、われわれの宿題として取り組んでいかなければならないと考えています。短時間労働者への被用者保険の適用拡大については、働き方改革が進むなかできちんと議論しなければなりません。実際に、企業のなかでどういう就業調整がされているのかJILPT(独立行政法人労働政策研究・研修機構)に調査を依頼しているので、実態を踏まえて検討していきます。

高齢期の就労と年金受給のあり方についても、働き方改革の議論とあわせて、支給停止基準額の水準が視野に入ってくると思います。また、就労年齢が上がれば、年金受給を70歳以降に繰り下げる議論も出てきますが、慎重に進める必要があります。高所得者の年金給付・年金課税のあり方について、特に公的年金等控除の見直しは他制度への影響も考慮しなければなりません。また、働く受給者が増え、公的年金等控除と給与所得控除の両方の適用を受けることになれば、給与所得控除だけのケースとのバランスを含め、人的控除のあり方も見ながらの議論が必要になると思います。

――次期財政検証の進め方とそれに向けた課題をお聞かせください。

平成26年の財政検証では、女性や高齢者の労働参加が進めば、将来にわたって所得代替率が50%を確保できることが確認されています。ただ、この10年間マクロ経済スライドが適用されず、年金給付水準の調整期間が長引き、将来世代の基礎年金水準が低下することも明らかになっています。こうしたことも踏まえ、社会保障制度審議会の経済前提に関する専門委員会の議論が始まります。ここでは、年金制度を議論するうえで重要なファクターとなる賃金、物価、金利などの経済見通しを議論していただきますが、これまでと違い、当初から、内閣府で経済見通しを検討するメンバーにもオブザーバーとして入ってもらいます。内閣府の議論も参考にして政府全体の見通しを共有し、幅広い検討をしたいと考えています。議論の過程でオプション試算に関する意見も出てくると思われますが、それを年金部会にも議論の材料として提供していただくこともあると思います。専門委は平成31年春まで議論を続ける予定ですが、年金部会とも連動しながら進めたいと考えています。

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