年金時代

インタビュー:木下賢志・年金局長

――年金制度への正しい理解についてはどのように取り組みますか。

年金制度への理解を難しくしているのは、一つには私的年金と混同して賦課方式のしくみが理解されていないところがあります。自分が保険料を納めたことで得られる権利として、将来どのくらいの年金が受けられるのかを「ねんきん定期便」でお知らせしていますが、将来受けられるものをイメージできるようPRすることはきわめて重要だと思います。

また、年金は、現役時代の生活の制約を受けるという側面があります。つまり、働き方によって、受けられる年金も変わるわけで、老後を迎える前の段階の家計をどう組み立てるかは重要です。それには収支の見通しが必要で、それができれば老後に必要な貯蓄もわかってきます。こうしたライフプランニングをサポートする情報提供が必要ではないでしょうか。自身の生活設計を組み立てていくなかで年金がイメージできれば、よりリアリティをもって年金を感じられると思います。そうした広報が大事だと考えています。

――老後の所得保障の将来像として、公的年金、私的年金をどのように組み合わせるべきとお考えですか。

公的年金が老後所得保障の支柱で、私的年金が補完する位置づけであることは変わりません。ただ、老後のライフスタイルをどう考えるかは人それぞれなので、公的年金で足りなければ、早くから私的年金での準備をしていただくのは大事なことです。そのためにも、iDeCoのような税制優遇があって参加しやすい制度と、見通しの立てやすい年金が組み合わせられることは重要です。ライフステージごとのプランが組み立てやすいよう支援することが大切だと思います。

また、年金だけでなく、それ以外の社会保障や住宅費を支援する制度などと組み合わせてライフプランを立てていくのだと思います。そうした社会保障のなかに公的年金があり、さらに私的年金があります。厚労省としても、総合的な観点からアピールしていく必要があると感じています。局横断的に議論をしていきたいと考えています。

 

木下 賢志(きのした けんし)
昭和34年生まれ。58年一橋大学経済学部卒業後、当時の厚生省に入省。平成5年島根県健康福祉部高齢者福祉課長。11年厚生省大臣官房政策課企画官。13年大臣官房総務課企画官。23年保険局総務課長。24年内閣府大臣官房審議官。27年内閣官房内閣審議官。
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